経営戦略の羅針盤 第21回 ビジネスマナー考

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今年も残すところあと一ヶ月となってきた。取引先との忘年会、部署の納会など年末の行事とともに欠かせないのが、年末の挨拶である。営業担当者が、来年のカレンダーや手帳を持って得意先に行く光景が電車やビジネス街で見られる時期でもある。


さて、今回はビジネスマナーについて考えてみたい。誰しも社会人となると、たいてい入社当初に、ビジネスマナー研修を受ける。身だしなみから始まり、挨拶の仕方、名刺交換の作法、電話でのアポの取り方や受け答え、応接室での席順、メモの残し方や報告書の作成、さらには宴席の招待状作成、宴席当日の席次やテーブルマナー、お土産の手配、車の送迎、お礼状の作成など、さまざまなルールや慣習がある。

(表)ビジネスマナーで扱われるおもなもの

基本的なマナー
  • 社内での上司からの指示と報告
  • ことばづかいの基本
  • ことわり方、謝り方、頼み方 など
  • 電話、FAX、Eメール
  • 接客、席次
ビジネス文書
  • 社内文書
  • 社外文書
  • 英文レター、FAX
生活上の知識
  • 冠婚葬祭(結婚式、弔事)
  • 贈答/進物
  • テーブルマナー(和食、洋食、中華、立食 など)

しかし、せっかく受けたマナー研修の内容も、職種によっては使うこともなくあっという間に5年、10年が経過してしまう。スポーツのルールなどと同様、ビジネスマナーも使わなければ忘れてしまうし、身につかない。


ただ、ビジネスマナーを云々する以前に、人と接する上で最低限留意するべき点はあるように思う。例えば、「挨拶をする」、「時間を守る」、「年長者に対する配慮」、などである。これらのことを励行することはビジネスマナー以前の問題であり、欧米でもアジア諸国でもしっかりとした教育を受けたビジネスパーソンはこれらを身に付けている。


ビジネスでは、人と面談する機会が多い。ビジネス上の面談で、心掛けておくべき点を3つほど紹介したい。


まず、「目を見て話すこと」初対面では遠慮があったり恥かしかったりすることが多いが、やはりアイコンタクトは重要である。相手の人柄や表情を見て取るのには大切であり、信頼にもつながる行為である。


二つ目は、「メモを取ること」である。人によっては「まず私の話を聞いてからメモを取りなさい。」といわれる方もおられるが、メモをとることは面談したことの証拠を残す上で重要であるし、真摯な態度として相手に対し好印象を与えることにもなるからだ。


そして三つ目は、「確認やまとめを行うこと」である。表敬訪問のような面談はともかくも、何らかの目的や次へのアクションがあるから面談が行なわれるわけで、その面談で確認ができたこと、課題として残ったこと、何らかの回答をある一定期限まですべきこと、などがあるはずだ。そんな時、面談の最後に、「最後に、今一度確認させてください。」と一言ことわった上で、面談でのポイントを確認しておくと、次へのステップがスムーズになる。


最後にビジネス上のお付き合いで、できそうでできないのが、ギブ・アンド・ギブ、である。通常、「ギブ・アンド・テイク」と言われるがこれは当たり前。そうではなく、まずはギブそしてギブ、自分が相手に対して与えることのできる情報や協力を惜しまないことである。人が一人でできることは限られている、でも人に頼られた時、何か少しでも役に立てることがあるのなら汗をかく気持ちを持って欲しい。その汗がすぐに報われなくとも、無駄ではない。人はあなたの気持ちについてくる。

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