2007年09月10日
若い世代が集まったときに仕事以外の話題としてよく使われるのが、出身地・趣味・星座・血液型などである。それは、相手との距離感を近づけるためであったり、相手を既知のカテゴリー分類で把握することで心理的な圧迫感が排除されるからである。
昨今の企業内組織における病弊としてみられるのが、「理念ビジョンの形骸化」「セクショナリズムの横行」「人事評価に対する不信感」「マネジメントの機能不全」「顧客視点の欠落」などである。これらの背景にあるのは、社員とその上席者のコミュニケーション不足である。入社2?3年目の若手社員が、突然辞めてしまうという例も少なくない。
どのように若手とコミュニケーションすればよいのだろうか。
コーチングという手法
コミュニケーションの手法として、コーチングという言葉が最近聞かれる。もともとは「コーチ」という言葉が1500年台に「馬車」との意味で使われ、この言葉は「大切な人をその人が望むところまで送り届ける」という意味から派生したといわれている。その後、スポーツ分野で指導者がコーチと呼ばれ、マネジメント分野で「コーチ」という言葉が使われ始めたのは1950年代と云われている。
現在、使われている「コーチング」は、部下とインターラクティブにどう接していくかを体系化したもので、「コミュニケーション」の視点から人を4タイプに分類し、それぞれのタイプにあった形で接すると良いという手法である。(表参照)
表:「コーチング」における4つのタイプ分け
コントローラー (人や物事を支配するタイプ) |
<特徴>
|
---|---|
プロモーター (人や物事を促進していくタイプ) |
<特徴>
|
アナライザー (情報を収集、分析し、戦略を立てていくタイプ) |
<特徴>
|
サポーター (全体を支持していくタイプ) |
<特徴>
|
(出典)コーチ21 「コーチング基礎知識」より大和総研作成
コーチングを例に挙げたが、別の人材育成会社の使うタイプ分けでは、「達成支配要求型」「論理探求欲求型」「審美創造欲求型」「貢献調停欲求型」の4タイプを提示している。しかし、いずれのタイプ分けを活用するにしても、アンケートなどの事前調査が必要になる。また、各人のタイプが判明したからといって、そのタイプへの接し方が万能とは限らない。
タイプ分けをする前に
このようなタイプ分けの利用を否定するつもりはないが、まず、重要なのは日頃の観察とコミュニケーションではないだろうか。
仕事の進め方、簡単な事務処理への対応、電話や人との話し方など仕事上の様子を観察することで性格はみてとれるし、趣味や家族の状況などを材料に差し障りのない範囲でコミュニケーションしているうちに、その人の「人となり」は判るものである。
メールが普及し意思疎通が難しくなってきているが、何気ない仕草や会話の中に、その人の気持ちや本音をみいだすことができる。それともう一つ大事なことは、仕事に限らず、褒めることである。人に感謝されたり、褒められたりして嬉しくない人はいない。
「あの資料わかりやすかったよ。」「この間のお薦めの店、良かったよ。」といった一言から、コミュニケーションをスタートさせてはどうだろうか。
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