2007年08月14日
先日、沖縄出張で那覇に出向いた。沖縄訪問は、10年前の家族旅行以来である。「10年一昔」とは良くいったもので、前回と比べて空港ターミナルビルは新しくなり、空港から市内にはモノレールが走っていた。
かつては、空港から市内へはタクシーかバスしか交通手段がなく、飛行機を降りてタクシー待ちで並び、帰りの飛行機待ちでは、空港内で小さな子供を座らせる場所を探すのに苦労した記憶がある。
整備された空港ビルとモノレール
現在の空港ターミナルビルは、平成8年12月に那覇空港国内線新旅客ターミナルビル建設として着手され、平成11年5月に完成し利用がスタートした。4階建てのターミナルビルにはギフトショップやレストランばかりでなく、異なるサイズのコインロッカーや子供達が遊べる広場、マッサージ店なども用意されている。フロアー移動のエスカレーターには1フロアースキップしたものも配置され、羽田や成田と同様に綺麗に整備された印象であった。
モノレールは、平成15年8月10日に沖縄都市モノレール(那覇空港?首里駅間12.9キロ)として開業し、平成19年7月23日には乗客数が5000万人に達しており、2両編成ではあるが、県民にとっても観光客にとっても重要な足となっている。
増える観光客ほどに伸びない観光収入
沖縄の人口は、日本への復帰(昭和47年)当時の96万人から平成18年には136万人と42%増となっている。県の産業構造をみると、第1次産業1.9%(国:1.6%)、第2次産業12.7%(国:27.9%)、第3次産業89.5%(国:74.3%)となっており、観光業を中心とした第3次産業中心の構造となっている。本土経済圏から遠隔地に位置するという地理的条件もあり、県外からの移入に供給を依存しており製造業が強くない。
観光客数をみると、昭和47年44万人から、平成18年563万人へと約13倍に膨れ上がっている。平成19年1月には、本土復帰後の観光客が累計で1億人を突破しているという。観光客の増加要因として、県では「航空アクセスの向上や宿泊・観光施設等の新設、官民一体となった誘客キャンペーンの展開に加え、沖縄を題材にしたテレビ番組や、スポーツ、芸能分野での県出身者の活躍などを背景に、沖縄への関心の高まりが継続していること」を挙げている。ただ、旅行商品の低価格化と旅行形態の多様化、一人当たりの消費額の伸び悩みなどから、観光収入は観光客数ほど順調に増加していない。
地域の特産品を活かす
こちらでは、「かりゆし」と呼ばれるシャツがビジネスでは一般化している。これは、1970年社団法人沖縄観光連盟が沖縄らしいウェアを作ることを目的に沖縄シャツを誕生させたことに端を発し、2000年7月の沖縄サミットで各国首脳がこの「かりゆし」を着用したことで急速に普及したといわれている。開襟シャツでおとなしい絵柄からか、今回沖縄の企業の方と面談していても、堅苦しい雰囲気が無く、親近感が持てた気がする。当地の銘酒といえば「泡盛」だが、25年ほど前、学生時代に試したときは独特な香りが強くて飲み難かったが、最近では口当たりもよくとても飲み易くなっている。当地のお土産としては定番の「ちんすこう」も、プレーンなものから黒糖、パイナップル、石垣島の塩をつかった味などバラエティーを揃えていた。
このように、地域の資源や得意分野を活かした戦略は有効である。地域活性化にしろ、企業経営にしろ、強みをいかに伸ばすかに成長のヒントがあるのではないか。
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