2007年06月18日
コンプライアンスの重要性が問われて久しいものの、企業不祥事のニュースは絶えない。企業活動では、多くのステークホルダー(利害関係者)の期待に応えるためには、基本のルールを守ることは第一条件である。特に、事業活動に関る法令順守は、企業が社会的責任を果たす上で当然のことである。しかし、法令と言っても、企業活動が拡大しIT化が進展した昨今では、企業が順守すべき法令は多様化している。
多岐にわたる法令
経営レベルの法令(会社法、独占禁止法、金融商品取引法)、業種レベルの異なる法令(製造物責任法、食品衛生法、薬事法、小売業法)、組織レベルの法令(労働基準法、労働安全衛生法、著作権法、特許法、個人情報保護法)など多岐にわたる。

一般従業員からすると、法令順守とはその事業活動を行っている企業が対応すべき問題で、総務部・法務部・コンプライアンス部・監査部などといった組織が責任をもって担当すればよい、何かあった場合は経営者が責任を取るのだという認識になりがちである。しかし、個人情報の漏洩、インサイダー取引違反、など一般従業員が関与した不祥事が発生しているのは周知の通りである。法令順守は、他人事ではすまされないのである。それでは、どのように法令順守を徹底させるのか。
企業不祥事が無くならない事実からも判るように、これで完璧というコンプライアンス対策は無い。運用管理のしやすさからWEBを活用したEラーニングが普及しているが、果たして全従業員の懐にどこまで伝わっているのであろうか。
CVI(CaseVisualIncentive)が法令順守徹底のためのキーポイント
私は、法令順守を徹底するためのキーポイントは、ケース・ビジュアル・インセンティブの3つと考えている。例えば、外部講師による具体的な法令違反のケース研修(=Case)、簡単な法令解説と想定される違反事例を題材としたビデオによるビジュアル研修(Visual)、人事考課の項目にコンプライアンスへの取り組みについての項目を設けインセンティブを与える(Incentive)、このような施策を地道に積み重ねていくことで、企業の役職員の意識改革が進むのではないだろうか。
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