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低・脱炭素経済に向けた移行計画

~企業に求められるサステナビリティと事業戦略の融合~

コンサルティング第一部 コンサルタント 渡邊 秀人

サマリー

TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言に関する開示が進んでいる。東京証券取引所が2021年6月に実施したコーポレートガバナンス・コード(CGコード)の改訂の中、補充原則3-1③にてプライム市場を対象に、「TCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべき」と定められたことが大きな要因だ。

TCFDに対する賛同を表明した企業は、年々増加しており、CGコードの改訂公表前の2021年5月末時点の409社から、2022年6月末時点で997社へと急増している。

TCFD提言に関する開示対応に当たっては、TCFD提言の最終報告書にて開示が推奨された「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4つのテーマに対する11の項目に沿った形で開示を進めることが基本的だが、2021年10月にTCFD提言の一部改訂が発表されたことで、企業の対応項目はより拡大する形となった。投資家の関心が高まるScope3のGHG(温室効果ガス)排出量の開示を検討すべきといった項目が加わるなど、改訂前のTCFD提言の内容からさらに一歩踏み込んだ開示が推奨されている。

TCFD提言への対応では、一般的に経年的に開示内容の拡大やブラッシュアップが行われることが多い。従って、今般のCGコードの改訂に合わせてTCFD提言に関する対応を始めたばかりの企業はまず改訂前のTCFD提言の推奨開示項目への対応を優先しているものと推察される。

今後ブラッシュアップを進める中で改訂内容に即した開示を進める企業が増えてくることが見込まれる。本稿では改訂内容の対応の中で特に注目されるポイントとして移行計画を挙げたい。

移行計画は、TCFDでは「plans for transitioning to a low-carbon economy」と表現され、「低炭素経済に移行するための計画」となる。既に日本政府をはじめ、多くの国や機関、企業がカーボンニュートラルを宣言したことで低炭素社会を世界的に目指す方向性(目標)が共有されたことから、今後はその実効(移行)を重視することが背景にあると推察される。

環境系ESG評価機関であるCDPも事業計画「2021–25 strategy」の中で「移行」や「移行計画」について多く言及するなど、CDPが「移行計画」を重視していることが見て取れる。CDPは、これまでは気候変動や水資源、森林保護などに対する社会的な関心を高めることを重視してきたが、今後は移行計画に重点を置くことで、これまで高めてきた社会的な関心の実現性を確実にする必要があるとも言及している。本稿では、TCFD、CDPそれぞれ移行計画に関するポイントや構成要素などを紹介したい。

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