2022年03月18日
サマリー
◆日本企業は少子高齢化等で国内市場の規模が伸びない中、海外市場にその活路を求めている。
◆海外子会社におけるマネジメント形態は、①本社調整型、②現地意思決定型、③現地人委任型、④現地化型、⑤グローバル人材型に分かれる。
◆①本社調整型は、日本人が現地子会社の社長で、日本の伝統的な製造業の海外子会社に多いマネジメント形態である。日本人社長は、日本の開発部門、事業部門と、現地の製造オペレーションとの密な連携・調整を行う。
◆②現地意思決定型は、日本人が現地子会社の社長で、特にASEAN諸国などでローカル仕様の製品・サービスを提供する業種に多い。実際の業務活動は現地人に任せ、それをマネジメントし、最終的に意思決定を行う。
◆③現地人委任型は、買収した会社の現地人社長等に経営を任せる場合である。現地人社長は、現地業務に通じ、現地での業界にネットワークを既に持っており、すぐに経営を任せることができ、早い段階での受注獲得も望める。
◆④現地化型は、現地人が日本で教育を受け、日本と現地で数年仕事を経験し、現地社長として派遣されるケースである。グループ戦略に則り、現地ニーズを把握し、それを製品に反映させ、迅速に意思決定を行ってローカル企業へ販売するような業種、例えば、消費財メーカーや食品メーカー等が適合している。
◆⑤グローバル人材型は、世界的にも有名な欧米のグローバル企業で行われているマネジメント形態である。グローバル共通の基準で現地子会社の社長にふさわしい人材を人種、性別、国籍等に関係なく配置するという考え方を採用している。
◆日本企業は、海外子会社において、どのマネジメント形態であれば、戦略を達成できるかということを、保有する経営資源と外・内部環境を鑑みて決める。
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