投資信託取引システムのAPI連携により、個人投資家に寄り添ったウェブサイトを実現

フィデリティ証券株式会社様

欧州、アジア太平洋、中近東、南アメリカの25か国・地域以上において投資家向けに資産運用サービスを展開している世界有数の独立系資産運用グループ、フィデリティ・インターナショナル。そのグループの一員であるフィデリティ証券は、1998年から日本で個人投資家に向けた投資信託の販売を開始し、早くからインターネットを通じての投資信託取引サービスを提供してきた。
同社は、2005年から大和総研(当時、大和総研ビジネス・イノベーション)のインターネット取引システムFinancial Plate/WB4を導入し、2013年にAPI連携による大幅な機能性向上を実現している。

前例のない売買画面のシームレス化に挑戦

フィデリティ証券株式会社 野村 慎一郎様フィデリティ証券株式会社
戦略企画部長 野村 慎一郎様

野村様「当社は1998年の営業開始の後、インターネットが一般的に普及し始めた頃から投資信託のインターネット販売をスタートしました。2005年には大和総研のインターネット取引システムFinancial Plate/WB4(以降、WB4)を導入。新たな時代に合ったサービスを他社に先駆けて提供していきたいという思いで、取り組んでいました。

当社は店舗がなく、インターネットとコールセンターが主な販売チャネルですので、マーケティングには力を入れています。会社設立時から積み重ねてきたオンラインマーケティングの知見を活かし、2011年に全社的なプロジェクトを立ち上げて『自社ウェブサイトの大幅リニューアル』と『WB4とのシームレス連携』の実現に向けた検討を開始しました。

それまでは、投資家が売買を行う際は、自社ウェブサイトで取引を希望するファンドの情報を閲覧した後に、大和総研のインターネット取引システムにアクセスし、取引サイト内で再度、商品検索をやり直す必要がありました。その画面遷移のフローが投資家の手間となり、売買機会損失を招きかねないという懸念があり、よりシームレスな売買連携が実現できないかと大和総研に相談したのです。あわせて、当社のビジネス戦略や顧客ニーズに応じた自由度やスピード感を追求していくには、ASPシステムでのカスタマイズの範囲では収まらなくなってきており、シームレスな取引環境を実現するとともに、お客様向け画面開発の自由度を高めたいという思いから検討をお願いしました」

杉岡「フィデリティ証券様からいただいたのは、投資信託購入に至る画面遷移を簡略化・シームレス化して利便性を高め、加えて、利用されるお客様の層に合わせた画面デザインとすることで、取引率を向上させたいというご要望でした。

そこでご提案したのが、WB4とフィデリティ証券様が開発する画面とのAPIによる連携です。それまでAPIは、システム内部の機能と連携する用途に限定して利用していました。これを、フィデリティ証券様との外部連携に応用しようと考えたのです。これは、2011年当時、われわれにとっても初めてのチャレンジでした。証券取引システムは、法定要件を満たす必要性などからリアルタイムの外部連携が難しいとされており、API提供は行わないケースがほとんどで、画面のカスタマイズなども限定されています。画面を自由に設計しようとすると自社で一からシステム開発を行うしかないという考え方が一般的です。

しかし、長年のシステムサポートを通して、フィデリティ証券様がネット販売のサービスを磨き続けている姿に触れていましたので、何とか実現して貢献したいという一心でした」

丁寧なサポートで機能向上を実現

フィデリティ証券株式会社 山本 秀二様フィデリティ証券株式会社
戦略企画部 山本 秀二様

山本様「前例のない難しい注文にも、大和総研が知恵を絞って提案してくださったので、私たちの構想が実現する可能性を強く信じることができました。一方、今まではインターネット取引システムの利用者という位置づけでしたが、APIによる連携を実現するには、当社内の業務知識・システム知識を高めなければなりません。また、オンライン取引の運用体制が大きく変わるという点も影響が懸念されました。この点も十分に考慮していただき、さまざまなサポートをしてくださった点は、とても心強かったです」

杉岡「ありがとうございます。当社としても工夫した甲斐があります。フィデリティ証券様のケースでは、まず円滑にシームレス化するためのコア機能の洗い出し、ロードマップの作成を丁寧に行いました。さらに、一度での導入は負担が大きいと考え、フェーズ制を導入。最初に拡張性の高い基盤を整備し、その上で複数年をかけて、シームレス化する画面を段階的に増やしていく方法を取り入れました。2年目には、仕様決定のスピードアップとフォローのため、私が常駐させていただくことで、ともに円滑なシームレス化に取り組みました」

フィデリティ証券株式会社 梁 俊義様フィデリティ証券株式会社
情報システム部 
ヘッドオブビジネス
ソリューションズ 
梁 俊義様

梁様「当社がAPIによる連携という初めてのことに取り組む中で、図解を多用したグラフィカルな仕様書や、設計書ではなく動作するプロトタイプを作ってレビューしてくださるなど、現場が理解を深めながら進めていけるよう工夫していただきました。運用・拡張を進める中で、われわれの中にも徐々にシステム知識が蓄積された点も強みになりました。それまではASPサービスの業務委託先という他のシステム会社と特に変わらない関係でしたが、今では大和総研と当社で相互に機能性やお客様の利便性向上につながるレベルアップ開発の検討・提案を継続的に議論するまでになっています。こうした大変貴重なビジネスパートナーとしての関係を築くことができた点も大きな収穫だったのではないでしょうか」

オンライン戦略に対応する開発のスピードアップを実感

フィデリティ証券株式会社 森川 大輔様フィデリティ証券株式会社
情報システム部 森川 大輔様

森川様「API連携を実現することで、お客様向けインターフェースの開発の自由度が格段に上がりました。またAPI開発のみならず、証券バックオフィスシステムFinancial Plate/SNRへの要望などにも柔軟に対応していただき、フロントシステム、バックシステムとも、当社の成長戦略に対して広範にサポートしていただいていると実感しています。また、お客様からの改善要望や当社内の関連部署からのレベルアップ要望に対しても、対応のスピードが向上しています。

 堅牢で安定したインターネット取引システムWB4の基盤上に、拡張性・汎用性をもったプラットフォームとして画面連携APIを設計いただいています。当社のお客様向けサービス改善はこれからも続いていきますが、このプラットフォームがあれば引き続き改善活動を効率的に行えると考えています」

大和総研 杉岡大和総研
金融システム開発本部
金融システム開発第一部 次長
杉岡 諭

杉岡「そういったお客様の声や、フィデリティ証券様の成長戦略の実現に貢献できたことは、われわれにとっても大きな喜びです。御社からのご相談をきっかけに、API提供によって自由度の高いシステムを提供することにチャレンジすることができました。フィデリティ証券様はネット展開に関して高い先進性を持っており、今では多くの人が知るようになったAPI連携も、当時の証券業界では斬新な手法でした。こうした新しい取り組みが、現在のWB4を展開する礎になっています。このプロジェクトを機に、より高度なパッケージ内連携の実現や、他のお客様に対するAPIの提案など、新たな一歩につながっています。 これまでになかった新しいサイトの実現を経て、真のビジネスパートナーシップを結べたのではないかと思います。今後とも引き続きよろしくお願いいたします」

フィデリティ証券様 取引サイト(イメージ) フィデリティ証券様 取引サイト(イメージ)

※部署名・役職名は、インタビュー当時のものです

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