2026年02月20日
- 実質GDP成長率見通し:26年度+0.8%、27年度+0.9%:本予測のメインシナリオにおける実質GDP成長率は25年度+0.7%、26年度+0.8%、27年度+0.9%(暦年ベースでは26年+0.6%、27年+1.0%)と見込む。春闘での高水準の賃上げ継続や物価上昇率の低下などにより、実質賃金の前年比はプラス圏で推移しよう。政府の経済対策、緩和的な金融環境の継続、高水準の家計貯蓄も日本経済を下支えしたり、押し上げたりするとみている。また、在庫循環が「在庫積み増し局面」入りするとみられることや、資本ストック循環が設備投資の増加を示唆していることも好材料だ。他方、米中を中心とした外需の下振れリスクには引き続き注意が必要だ。米国では、インフレ率が想定よりも上振れし、金融引き締め的な環境が継続したり、トランプ関税が再び強化されたりする恐れがある。日中関係は25年秋に大きく悪化したままであり、中国人訪日客数の回復が想定よりも遅れたり、レアアース(希土類)などの調達難が発生したりすることが懸念される。
- 日銀の金融政策:日銀は経済・物価・金融情勢を注視しつつ、26年4-6月期に短期金利を1.00%に引き上げ、その後は半年に一度程度のペースで0.25%ptの追加利上げを行うと想定している。予測期間の終盤にかけて短期金利は1.75%に達する見込みだ。実質金利は予測期間を通してマイナス圏で推移し、当面は緩和的な金融環境が維持されるだろう。
- 論点①:外国人労働者の受け入れと共生社会の実現に向けて:人口減少により人手不足が深刻化する中、労働供給の拡大において外国人労働者が重要な役割を担っている。外国人労働者の増加は労働投入と全要素生産性(TFP)を押し上げ、35年度までの潜在成長率を年率で0.4%pt拡大させる効果が見込まれる。一方、外国人に対する国民の受容度は、外国人割合が一定程度に達するまでは改善するものの、同割合が過度に高まると受容度が悪化する可能性があり、言葉の壁が受容度を押し下げることも示唆される。経済や地域社会の状況に応じた受け入れ規模の調整と、日本語能力の向上が重要だ。すべての外国人に開かれた日本語や生活ルールの学習を含む導入プログラムの実施や、週末・夜間講座や保育サポートといった働きながら学びやすい環境整備などが急務だ。
- 論点②:高市政権の消費減税と成長投資・危機管理投資:与党の衆院選における大勝を受けて、高市政権は2年間の飲食料品の消費税ゼロに向けて議論を加速させる方針である。しかし、この消費減税は、年間約5兆円の歳入減が生じる一方でGDP押し上げ効果は0.3兆円にとどまる。基礎控除の引き上げなどの家計支援策がすでに実施され、物価上昇率の低下も見込まれる中、必要性の乏しい政策だ。財源を「成長投資」や「危機管理投資」に充てる方が、供給面に課題を抱える日本経済にとっては有効だろう。その際には、政権が掲げる17分野に均等に資源を投入するのではなく、半導体・AIなど経済成長への効果が大きい分野に重点的に投資をするなど、政策目的と効果の大きさに応じたメリハリが重要となろう。危機管理投資においても、発生頻度の低いリスクを完全に抑制することを目指すと費用対効果の面で効率が悪い。中国からのレアアース等の輸入途絶など、リスクの発生頻度が比較的高く、影響の大きい分野に絞って進めることが肝要である。
【主な前提条件】
(1)為替レート:25年度150.4円/ドル、26年度154.8円/ドル、27年度154.8円/ドル
(2)原油価格(WTI):25年度62.8ドル/バレル、26年度65.2ドル/バレル、27年度65.2ドル/バレル
(3)米国実質GDP成長率(暦年):25年+2.2%、26年+2.7%、27年+2.1%