施策から成果発現までを総合的に捉える健康経営の評価ガイドラインを策定

健康経営の施策が労働市場や資本市場における企業価値を高める方向に作用するという仮説を企業アンケート分析により検証

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2020年09月30日

  • 株式会社大和証券グループ本社
    株式会社大和総研ホールディングス

株式会社大和証券グループ本社(執行役社長 中田 誠司)をはじめとする大和証券グループは、2019年5月に国立研究開発法人 産業技術総合研究所(理事長 石村 和彦)と共同で設置した「健康経営推進に関する研究会」(以下、研究会)において、コラボヘルスを通じた健康経営の有効性を可視化する評価モデルの検討・検証を行いました。


研究会において、健康経営の取組状況のみならず、成果の発現までを総合的に評価する枠組みを検討し、その考え方を「健康経営評価ガイドライン」(別添1)として取りまとめました。これは、従業員が活き活きと働くための心身の健康面だけでなく、働く時間や場所、在宅勤務や転勤への配慮等の各種制度、人間関係や従業員エンゲージメントなど職場環境までを評価対象とし、施策の実践から成果に至るまでの捉え方を整理したものです。


また、ガイドライン設計の一環として、2020年1月に企業の健康経営推進者に対してアンケート調査を行いました。健康経営の施策により、従業員の健康や職場環境が改善され、労働生産性が向上し、ひいては資本市場や労働市場における企業評価も高まるという仮説に基づき、アンケート回答データとオープンデータを用いた検証を行いました。検証の結果として、健康経営が資本市場および労働市場における企業の価値を高める方向に作用することが示されました。(別添2)


検証において、再雇用制度や育児介護休暇制度がある企業は、制度がない企業に比べて、離職率が有意に低いといった結果や、それら制度がある企業は労働生産性が有意に高いといった結果も得られました。これは、再雇用制度や各種休暇制度など、企業が従業員のライフイベントに合わせた制度を設定することにより、従業員が安心して勤められることで企業に対するロイヤリティが向上し、その結果として離職率を抑制したと考えられます。その他、運動習慣がある従業員の比率と労働生産性の関係、年間離職率と労働生産性の関係などについても確認し、健康経営の施策の実践が成果に至るまでの経路について、アンケートデータに基づく検証を行いました。健康経営の種々の施策により、従業員のエンゲージメントが高まることで、知識と経験の高い従業員の雇用の維持、採用および教育コストの削減ができることなどが影響し、結果として生産性が高まるという仮説を裏付ける検証結果が得られました。


足下では新型コロナウイルス感染症の拡大により従業員の働き方や商習慣に変化が生じています。今後、経済活動を発展させるだけでなくより良い社会を実現するためには、従業員が安心して安全に働けることの重要性がより高まることが想定されます。ウィズコロナ、ポストコロナ時代の健康経営として重要となる観点についても検討・分析を続けてまいります。当社顧客企業・健保様を対象に、評価に必要な情報をご回答いただくことで、研究会において策定した「健康経営評価」を「健康経営評価レポート」として当面無料でご提供することを検討しております。


大和証券グループは、過去10年以上にわたり、社会課題の解決に資する金融商品の開発と提供に尽力してまいりました。2018年には、SDGs達成に向けてこれらの取組みを加速させるべく、『SDGs推進委員会』(委員長:代表執行役社長 中田誠司)を設置しております。また本年4月には執行役副社長 田代桂子がSDGs担当に就任し、SDGsの期限である2030年に向けて、今後さらなる施策の推進に努めてまいります。今回の「健康経営の施策から成果発現までを総合的に捉える評価ガイドライン策定」はそうした取り組みの一環であり、当社グループは引き続き持続可能な社会の創造に向けて貢献してまいります。


  • 【別添資料】

【参考図1:健康経営評価によって実現する企業価値の向上イメージ】(ガイドラインの抜粋)

【参考図2:健康経営の取組と効果の関係性に関する仮説イメージ図】(ガイドラインの抜粋)

【参考図3:再雇用制度・育児介護休暇制度と離職率の関係】

【参考図4:従業員エンゲージメント(年間離職率)と労働生産性の関係】

【参考図5:健康経営施策の実施個数と株価指数(2020年)の関係】※2020年は3月31日までの日次終値を使用

【参考図6:健康経営評価レポートイメージ】