大和総研、富士通、KDDI、ミャンマー金融市場発展に向け、ミャンマー中央銀行へ同国初となるクラウド型コンピュータ環境を導入

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2012年12月25日

  • 株式会社大和総研
    富士通株式会社
    KDDI株式会社

株式会社大和総研(本社:東京都江東区、代表取締役社長:深井崇史、以下 大和総研)、富士通株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本正已、以下 富士通)およびKDDI株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:田中孝司、以下 KDDI)は、このたび共同でミャンマー連邦共和国(以下 ミャンマー)の中央銀行であるミャンマー中央銀行の業務効率化を目的とした同国初のクラウド型コンピュータ環境を構築しました。本コンピュータ環境は、大和総研が主導するアライアンスクラウド推進ソサエティの設計・構築および運用手法に準拠したプライベート・クラウド基盤と、セキュリティ対策を施したデスクトップサービスで構成されています。


急速に民主化が進展しているミャンマーでは、2015年のASEAN経済統合を視野に入れ、金融規制緩和や証券取引所の設立準備(注1)など、金融セクターの近代化に向けた動きが活発化しています。このような状況下において、通貨の発行・管理や金融政策の実行など、金融システムの中核を担うミャンマー中央銀行の円滑な業務運営がますます欠かせないものとなります。ミャンマー中央銀行では、これまで煩雑な業務の多くを手作業で行っており、今後の経済発展とともに予想される業務量の急増への対応や、紙での管理に起因するセキュリティ対策が課題となっていました。本コンピュータ環境は、業務効率の大幅な向上だけでなく、政府系金融機関に求められる高度なセキュリティレベルを実現しており、ミャンマー中央銀行の迅速かつ安定的な金融政策の運営、ひいてはミャンマー経済の持続的成長へとつながるものです。


本コンピュータ環境の導入にあたり、大和総研はクラウド基盤および端末環境の設計・構築、富士通は機器類(サーバ・端末など)および手のひら静脈認証システムの提供・構築、KDDIは行内ネットワークの設計・構築を担当しました。今後も3社は信頼性の高い「日本品質」のソリューションで、ミャンマー金融業界をはじめとする様々な企業のICT化推進、さらにはミャンマーの経済発展に貢献してまいります。


株式会社大和総研 代表取締役社長 深井 崇史のコメント
当社は、長年にわたりミャンマーの金融市場育成に向けた支援に取り組んでおります。本年5月には東京証券取引所グループとともに、ミャンマー中央銀行との間で証券取引所設立に関する覚書を締結しました。今回のコンピュータ環境は、同国の金融システム近代化に不可欠なICTインフラ整備の先駆けであるとともに、証券取引所設立に向けた大きな礎となるものです。この意義深い本環境に、当社のクラウド基盤ならびにデスクトップサービスを採用いただき、大変光栄に思います。今後も大和総研は、シンクタンクとして培った金融市場整備やシステム構築などの多角的な知見を活用し、さらに大和証券グループが有する証券ビジネスのノウハウの結集によって、同国の金融市場の発展に大いに貢献してまいります。


富士通株式会社 代表取締役社長 山本 正已のコメント
富士通として、これから近代化が加速するミャンマー金融市場におけるICT環境整備のプロジェクトに参加でき、大変光栄に思います。当社は、これまでも「アライアンスクラウド」準拠のクラウド基盤構築や、さまざまなクラウド活用提案をしてきました。そのようなノウハウを活用し、今後もミャンマーをはじめ、アジア各国への日本品質のクラウドICT展開に携わり、社会の持続可能な発展に貢献することを目指します。


KDDI株式会社 代表取締役社長 田中 孝司のコメント
当社は、東南アジアに51年以上に渡り現地法人を置き、日系企業・現地企業のソリューション案件・サポートに携わっております。その豊富な経験知識を活かし、ミャンマー進出企業のオフィスネットワーク構築なども手掛けてまいります。これまでKDDIグループが培ってきた東南アジアでのICTビジネスの経験によって、今後も同国の発展に寄与するとともに、日本の品質と同等のサービスを提供してまいります。

【 注釈 】

  1. 注1 :2012年5月29日、大和総研及び株式会社東京証券取引所グループはミャンマー中央銀行との間で証券取引所設立及び資本市場育成支援への協力に関する覚書を締結いたしました。
  2. ※文中の社名、商品名等は各社の商標または登録商標です。

別紙

【コンピュータ環境の概要】

本コンピュータ環境は、大和証券グループ内の様々な用途での活用実績がある大和総研のデスクトップ仮想化ソリューション「THiNC(シンク)」を採用したシンクライアントシステムです。「THiNC」のシステム基盤には、アライアンスクラウド推進ソサエティの設計・構築および運用手法に準拠したクラウド環境を採用しています。各シンクライアント端末からは仮想デスクトップ環境へアクセスすることで、一般的なパソコン同様にワープロや表計算など業務遂行に必要なアプリケーションが利用可能です。
本環境は、富士通のPCサーバ「PRIMERGY(プライマジー)」やストレージシステム「ETERNUS(エターナス)」、ノートパソコン「LIFEBOOK(ライフブック)」などのハードウェアで構成され、ミャンマー中央銀行のヤンゴンオフィスにおいて、合計150台の端末が稼働しています。また、よりセキュリティを強化するため、富士通の手のひら静脈認証「PalmSecure(パームセキュア)」を取り入れたセキュアプリントの仕組みも導入しています。
行内ネットワークは、東南アジアでソリューション案件の実績が多くミャンマーでの日系企業オフィス構築サポートの実績もあるKDDIが構築を行い、ビル内のアクセスポイントから各端末まで日本レベルのセキュリティを考慮した無線LANで接続しています。さらには、電力供給が不安定なミャンマー事情を踏まえ、無停電電源装置(UPS)やPoE(Power over Ethernet)給電機能などを取り入れています。

【システムイメージ】

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大和総研、富士通、KDDIの3社は、今回の実績によって培われたミャンマー国内でのシステム構築および運用に関するノウハウを活用し、今後の著しい増加が見込まれるミャンマーのICT需要に応えるべく、「日本品質」の先進的サービスやソリューションをもって、同国の持続的発展を支援してまいります。

【アライアンスクラウド推進ソサエティについて】

アライアンスクラウド推進ソサエティは、ユーザー系ICT企業の立場から、ユーザーにとって最適なICTサービスを追求し、これをクラウドで具現化する企業横断的な取り組みです。その活動において、機器やソフトウェアの多様性を許容した複数のクラウド基盤が連携し、それぞれの余剰リソースを共有し合える仕組みの整備を、主要なテーマの一つに掲げています。
アライアンスクラウド推進ソサエティでは、このようなテーマの実現を目指し、多くのベンダーから協力を得ながら、ミッションクリティカルな基幹系システムでの稼働を前提としたクラウド基盤の技術検証に取り組んでいます。その中で、各基盤間の機器の差異を吸収できる仮想化技術や運用手法などの確立を図っています。さらには、検証を通じて得られた課題をベンダーへフィードバックするなど、ユーザーとベンダーの双方に有益となる仕組みを形成しています。
検証成果の活用事例として、2011年11月に富士通館林システムセンターにて、アライアンスクラウドに準拠した国内初のハイブリッドクラウド基盤(大和総研内のセンターと連携)が稼働しています。また、2012年10月には、神奈川と大阪の検証センターを接続し、センター間における全自動ディザスタリカバリの仕組みを構築・検証するなど、最新技術を取り入れた継続的な検証を進めています。
アライアンスクラウド推進ソサエティは、現在、大和総研ホールディングスと新日鉄住金ソリューションズ、パナソニック インフォメーションシステムズの3社が参画しており、今後もミャンマーをはじめとしたアジア各国への展開を視野に入れながら、国内外のユーザーにとってより使いやすいクラウド基盤とICTサービスの整備を進める予定です。