新たな証券会社の発足をサポート
株式会社スマートプラス様
「次世代証券プラットフォームを確立し、新たな価値を個人投資家に提供する」
ユニークな発想で証券業界に新風を送り込む、株式会社スマートプラスは、東大発Fintechベンチャー企業の株式会社Finatextが2017年に設立した、新しいコンセプトのネット証券会社である。
個人投資家がもっと気軽に、楽しみながら株式投資ができるよう、モバイルアプリとそのプラットフォームを新たに開発。大和総研(当時、大和総研ビジネス・イノベーション)は、その基盤を支える証券基幹システムFinancial Plateシリーズを提供し、ネット証券会社の新規立ち上げをサポートする。
東大発Fintechベンチャーが、モバイルデバイスに特化した証券会社を設立
藤江様当社の親会社であるFinatextは、金融業界向けに投資コミュニティーアプリの開発・運営などのモバイルサービスを提供しています。「貯蓄から投資へ」というフレーズが長年にわたり掲げられているにもかかわらず、日本ではなかなか個人投資家のすそ野が広がりません。資産運用に関心はあるものの、投資に対して心理的な壁があると考えています。
そこで、誰もが株取引を気軽に楽しめるようなモバイルアプリをつくろう、そのための使い勝手の良い証券取引プラットフォームを開発してネットトレードを盛り上げよう、という機運が高まり、新会社を立ち上げてこれらの企画、開発、運用を担うことになりました。それが株式会社スマートプラスです。
当社が開発を進める次世代証券プラットフォームBaaS(Brokerage-as-a-Service)は、ブローカレッジ、注文執行などの典型的な証券サービスをプラットフォームとして開発・提供するものです。そしてこのプラットフォーム上で稼働するモバイルアプリ第1弾として、SNSを活用した株取引アプリ「STREAM(ストリーム)」を開発、2018年7月にリリースしました。
探していたのは、モバイルアプリと柔軟・シームレスに連携できる証券システム
藤江様スタートアップであるわれわれがBaaSやSTREAMの構想を実現するためには、証券取引の基幹システムを提供していただける信頼できるパートナーが必要でした。堅牢で、頻出する金融の制度・法改正にも迅速に対応し、かつ当社の構想を実現できる柔軟性を備えたシステムを提供してくれるのはどこか? お客様からの信頼を得るには? これらの視点から複数社のシステムを検討し、大和総研のFinancial Plateを導入することに決めました。
下田様証券基幹システムに求めていたことは、注文執行時の各種コンプライアンス・チェックをはじめ、約定成立後の残高管理から帳票管理・対外接続まで、法令にのっとり一気通貫した管理が可能であること。Financial Plateは、われわれの主戦場となるインターネットトレードの業務ロジックをAPIで提供可能なFinancial Plate/WB4(以降、WB4)と、証券バックオフィス業務をパーフェクトに担うFinancial Plate/SNR (以降、SNR)を有しています。とりわけWB4は、これまで様々なネット証券会社が採用している取引システムとして、安全かつ安定して運用されているという実績に裏打ちされた、高い信頼性がある、と判断しています。
さらに、WB4は他の取引ツールや証券フロントシステムとのAPI連携が豊富で、当社のBaaSやSTREAMに合わせたカスタマイズが期待できる点も、大きな決め手になりました。当社は、従来のネット証券とは全く異なる発想で、アプリを開発しています。WB4は、シームレスにアプリと連携できるインターフェースがあり、柔軟性に優れ、スピード感を持って開発を進める大きな力となりました。
もうひとつ、当社はお客様に新たな証券プラットフォームを提供しようと考えていますので、BaaSにはミドルバックの概念も包摂させています。当然ながら、ミドルバックは間違いがあってはいけない。大和総研が、システムや人的サポートで背後からがっちり支えてくれているという安心感に助けられています。
お互いの強みを生かした協業で、スピード感ある開発を容易に
池田ありがとうございます。当社は、インターネット取引専門のシステムWB4の柔軟性と、法制度改正に迅速・確実に対応する証券バックオフィスシステムSNRの堅牢性が強みです。
証券取引の定型管理業務や堅牢さは当社にお任せいただき、スマートプラス様の豊かな発想から生まれる特徴的な機能はBaaSが担うという、双方の強みを生かせたプロジェクトです。
具体的には、STREAM(アプリ)から大和証券へ注文執行を取り次ぐスキームを実現するため、取引に関するクリティカルな機能、すなわち投資家の残高照会、余力チェック等の機能は、豊富な連携実績があるWB4のAPIを、スマートプラス様専用に提供しています。過去の実績から様々な連携バリエーションを持っており、それらを応用することで、比較的短期間で専用のインターフェースを提供することができました。
そして、取引履歴などの即時性が求められないデータは、SNR経由でアプリと連携し、スマートプラス様で活用できるようにしています。
下田様他社のシステムでも短期導入は可能かもしれません。しかし、ほとんどのシステムは柔軟性に欠け、ベース機能に対する変更への対応が困難です。今回は、短期間で要件定義をしながら、多岐にわたる接続部のインターフェースの作成や実装も確実に行っていただきました。また、開発・テストまでのプロジェクト管理が安定していたことも、短期開発につながりました。
藤江様毎週、対面での定例ミーティングを実施しつつ、グループウェアにも参加してもらい、ほぼ毎日のようにコミュニケーションを重ねられたことも、開発期間の短縮につながったと思います。
池田スタートアップ企業との協業は刺激的です。スマートプラス様は、意思決定やレスポンスが圧倒的に早い。新しいビジネスを創りだそうという意欲に、当社のメンバーも「このビジネスに貢献したい」とモチベーションが高まりました。
“証券”の再発明で、投資に自由を。スタートアップ企業の発想を力強く支えるシステム
藤江様目指しているのは、一般の人が自分たちの言葉でコミュニケーションを交わしながら、その中から生まれてくる投資行動をサポートすることです。SNSを活用するのは一つの手法です。コミュニティーにおける発信やその評価が活発になればなるほど、投資に対する心理的な壁は低くなり、投資行動が活発になっていくと予想できます。
下田様自らが能動的に参加することで市場が動くことを体感すれば、投資がおもしろくなるはず。そうすれば、現状を「ネット証券2.0」と呼ぶとすれば、投資を楽しむ新たな「ネット証券3.0」の扉が開きます。楽しみ方はSNSに限らず多彩であればもっと盛り上がるわけで、そうしたアプリ開発を支えるプラットフォームとしてBaaSを提供したいのです。
投資の世界は、すごく勉強したユーザーとすごく経験値のある開発・サービス提供側の専門家が出会わないと、成り立たない世界になっています。需要(ユーザー)と供給(提供者)双方のハードルを下げるのがBaaSであり、これを支えるのがFinancial Plateです。
藤江様私たちは、「“証券”の再発明で、投資に自由を。」というビジョンを掲げています。
株取引をわかりやすく、楽しくするには、提供する側が「発明」をしていく必要があります。
下田様アプリ開発者は金融に精通していなくてもいい。参加者が楽しめる仕組みづくりに注力してもらえばいいのです。BaaSは証券や金融に関わる様々なルールをサポートできるため、新規事業者の参入障壁を下げることができます。BaaSをご利用いただくことで様々な市場参加者がさらに広がれば、証券業界はもっとおもしろくなります。大和総研には、力強いパートナーとして、これからも多岐に渡って力を貸していただきたいと思っています。
※部署名・役職名は、インタビュー当時のものです