大和総研の知見を活用できるシェアードサービスで、大きなメリットを享受

オリックス生命保険株式会社様

オリックス生命保険株式会社は、オリックスグループとユナイテッド・オブ・オマハ生命保険(米国)の合弁会社として、オリックス・オマハ生命保険を1991年に設立(1992年100%オリックスグループ化、1993年社名変更)。主力の「医療保険 キュア」シリーズを中心に、個人保険の保有契約件数を伸ばし、2018年5月には400万件を突破するなど、12期連続2桁の増加率で成長を続けている。急速に増加する契約数に対応するため、2014年に基幹業務を支えるメインフレームをリプレース。大和総研(当時、大和総研ビジネス・イノベーション)は、シェアードサービスの提供と継続的な運用サポートで、同社の躍進を支えている。

大和総研が、メインフレームのリプレースとしてシェアードサービスをオリックス生命に提案したのは、2012年頃。当時のオリックス生命は、保有契約数が急激に増えて、従来のハードウェアでの業務処理に限界を感じていた。さらにハードウェアもOSも保守切れ目前で、リソースを増強できない状況にあり、リプレースは待ったなしの状況だった。基幹業務を託すプラットフォームとして、同社は実績と定評のある大和総研のシェアードサービスを選択。これを受け大和総研では、シェアードサービス上に「待ち受け」環境を確保して、OS、ミドルウエア、プログラムなどのバージョンアップやアプリケーションの非互換対応を順次行い、後述の理由により2カ所で運用されていた基幹業務を、2014年にすべてシェアードサービスへと移行。その後、2017年には2区画での運用を1区画に集約した。

基幹業務を2つのシステムで別々に運用

オリックス生命保険株式会社 北田様オリックス生命保険株式会社
IT企画部
アーキテクチャユニットリーダー
北田 智子様

北田様当社では、設立直後から2つの基幹システムを別々に走らせていました。一つは「#1」と呼ばれ、請求や統計、フロントシステムへのデータ供給といった、契約から派生するさまざまな関連業務を担うシステム。もう一つは「#2」と呼ばれ、保険契約管理システムが動いていました。 この2つはロケーションも運用もバラバラで、それぞれを回線でつなぎ、データ転送をしながら使っていました。非効率的なこの運用形態を改善したくて、リプレースではまずロケーション(データセンター)を1カ所にまとめようということになり、それぞれのシステムを区画別に移行した経緯があります。この時点で、ロケーションは一つになりましたが、2区画で別々の業務システムが動いている状況は変わりませんでした。

石津様また、運用も別々でした。一つは大和総研、一つはオリックス生命で運用せざるを得ない事情があり、連携には煩雑な作業が伴いました。また、それぞれの区画でピーク使用時が異なっており、リソースを有効活用したいという思いもありました。大和総研からも、今後の成長も見越したうえでの運用改善提案があり、プロジェクト要員を確保できたことから、2017年5月に「区画集約プロジェクト」を立ち上げました。

綿密なスケジュールと明確な役割分担で難事業を遂行

オリックス生命保険株式会社 石津様オリックス生命保険株式会社
IT基板運用部
メインフレーム運用チーム長
石津 雅敏様

石津様プロジェクトはリリース日を絶対にずらせないこと、基幹業務なのでシステムを止めないことを前提に、両社が綿密にコンセンサスを取りながら、作業スケジュールを組みました。基本方針として、当社の企画主導で作業を行うという方針を明確にして、オリックス生命でシステム要件を定義し、定例会を毎週開いてお互いの進捗を細かくチェックしました。プロジェクトを進める上で、トラブルもあったのですが、最終的にはスケジュール通り移行することができました。

北田様スケジュールは、1週間単位で計画と進捗状況を共有できるようにして管理しました。両社が確認すべきポイントも含めて懸案事項を見える化し、お互いに確認しながら一つ一つ解決していくことができました。

石津様2区画の合体については、まったく異なるアプリケーションを動かしていますので、環境差異を詳細に調査し、「#2」を「#1」に統合させる方針を決定しました。

北田様メインは契約情報を司る「#2」でした。しかし統合するにあたって、肝心なアプリケーションが「#1」で起動せず、契約システムを動かせないという壁にぶつかりました。そもそもオリックス・オマハ生命時のシステムに、新たな管理機能を追加して作った契約管理システムですので、原因を特定するのが大変でした。結果としては、1カ所定義ミスがあり、両社がお互いに協力しあって、原因を突き止めました。このトラブルでスケジュールは2週間以上ずれ込むことになりましたが、早い段階に問題が明らかになったので、後のスケジュールで吸収しながら、本番環境は問題なく移行できました。

大和総研 石田大和総研
システムマネジメント本部
システム技術部長
石田 哲也

石津様オリックス生命としては、2017年度予算で一番大きなプロジェクトでした。基幹業務のシステム運用だけに難しいプロジェクトでしたが、移行前から移行後の今に至るまでノートラブルで、社内でも高く評価されました。フォーマットや意識のすり合わせを事前に徹底的に行い、誰が何をやるかといった細かいところまで、ロスが生じないように綿密に計画したスケジュールにのっとって進められたこと が、プロジェクト成功の大きな要因だと思っています。

北田様とにかく万が一のリカバリーができるよう、念入りに計画を練ったことが奏功しました。タイトなスケジューリングでしたが、無理はなかったと思います。初動のスピードは遅かったのですが、確実に前進できました。大和総研が常に早めの進行で進めてくださったので余裕ができて、途中で生じたトラブルによる遅れを吸収できました。移行作業は、テストを含めてとてもスムーズでした。実際には、困難な要求にも応えていただいて、スケジュールの厳しい部分を吸収してもらい、とても感謝しています。

一元的な管理の実現で、大きなメリットを享受

石津様区画集約プロジェクトの成功がもたらしたメリットは、大きく3つあります。 1つ目は、リソースの有効活用ができるようになったことです。今までは、片方の区画でリソースに空きがあると分かっていても使えずに多くのロスを生んでいました。全体契約量の中で、メインフレーム能力をフレキシブルにやりくりできるようになったことは、区画集約のメリットを大いに感じている部分です。 2つ目は、一元的な管理を実現できたことです。プラットフォームの運用を、すべて大和総研に任せられるようになりました。当初、受け入れが難しいとされていた管理業務ですが、作業一つ一つについて互いの着地点を見出し、受け入れ条件を整えることができました。これにより、それまで運用に関わっていた人員を、区画集約で見えてきた新たな課題への取り組み要員へとシフトできました。 3つ目は、使い勝手が飛躍的に良くなったことです。データ連携時に必要だった煩雑な手続きなどの作業がなくなりましたので、プロジェクトに関わっていない社員も喜んでいます。

プロジェクト成功の要因は、強い信頼関係

大和総研 藤本大和総研
システムマネジメント本部
基盤技術第二部 次長
藤本 和孝

石津様立ち上げ当初は、定例会に加えて分化会も行い、何度もミーティングを重ねました。振り返ってみて、プロジェクト成功の要因の一つは、双方が踏み込んで、課題やスケジュールを共有し、可視化できたことにあると考えます。もう一つは、限られた時間で最大限テストを行えるよう、我々が自由に使える検証環境を作ってもらえたことにあります。手順書通り動くのかを、最後の最後まで、全ての作業で確認できました。誰がやっても手順書通りやれば大丈夫というところまで検証環境で準備して、本番を迎えることができました。

北田様本当にうまく進められたプロジェクトでした。計画にじっくり時間をかけ、最初に決めた方針を貫いたこと、役割分担をしっかり決めていたことも、奏功したと思います。

石津様今回のプロジェクトでは、当社はかなり力を入れた態勢で臨みましたが、大和総研も強力な布陣で期待に応えてくださいました。パートナーにまる投げはしないという方針のもと、当社側でも数ある課題解決に尽力しましたが、作業を進めながら双方に強固な信頼関係が生まれたことが、比較的短期間で難しいプロジェクトを成功させた要因なのではないかと考えています。大和総研の手厚い体制は、何よりも信頼できましたし、とても感謝しています。

大和総研のシェアードサービスを利用するメリットは?

大和総研 田崎大和総研
システムマネジメント本部
運営統括部 次長
田崎 祐一郎

石津様シェアードサービスを利用するメリットは、大和総研が運用しているという信頼感につきます。メインフレームの運用は、何よりも安定感、安心感が重要です。金融機関の非常に厳しい運用ポリシーで実際に使用して培われた実績、経験、スキルは、何事においても説得力がありました。情報が豊富で、判断基準も信頼できます。

北田様24時間365日、オペレーターが常にいる環境の中でのサービスですから、安心です。さらに、メインフレームでは安定した運用のために自動運用を構築しますが、オンプレミスなど自前で運用する場合には、手作りする必要があります。シェアードサービスは自動運用が標準で備わっていて、その点でも安心して使えます。

石津様帳票類や印刷物が多い生保系の当社にとって、こうした管理システムに慣れているチームであることも大きなポイントです。本来なら自前で構築しなければならないシステムも、大和総研が持つノウハウ、要員やリソースを使わせてもらえるのですから、コスト面に限らず大きなメリットを享受できると思います。

※部署名・役職名は、インタビュー当時のものです。

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