日本経済中期予測(2013年2月)を発表

成長力の底上げに向けて実行力が問われる日本経済

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2013年02月04日

2012年7月の日本経済中期予測を改訂した。この半年間における最大の変化は政権交代であり、安倍新政権は大胆な金融緩和や機動的な財政出動、 成長戦略など、いわゆるアベノミクスを推し進めている。ただ、これらが効果を発揮するかは、今後の世界経済の動向に左右される面も大きいだろう。今回の予 測では、世界経済の見通しを一段と保守的に見直した。この結果、今後10年間の日本の経済成長率は平均で実質1.5%、名目2.1%と予想する。


日銀は「物価安定の目標」を導入したが、金融政策の枠組み自体が変わったわけではない。物価目標の設定はゴールではなく、政府と日銀がその実現のためにど う行動するかが問題である。デフレの構造的な要因を単位労働コストの背景から整理すると、デフレ脱却には金融緩和のもとで企業の収益基盤を強化しつつ、企 業の再生や再雇用が円滑に行われるセーフティネットを構築することが重要である。円安ドル高が物価を押し上げる効果は短期的には小さく、円安が長期間続い たとしても物価が上昇するまでにはかなりの時間を要する。円安を活かして規制・制度改革を進めるべきであり、短期的な「成長率」よりも中長期的な「成長 力」を重視すべきである。


電力料金のようなエネルギー価格の上昇は、そのままだと日本の経済成長にとって大きな足枷となりかねない。しか し、政府が価格メカニズム等を活用する適切な制度設計を行えば、企業努力を引き出して、エネルギーの効率化と多様化という課題を経済成長に繋げていくこと ができるものと考える。

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