自治体の財政診断入門 「損益計算書」を作れば稼ぐ力がわかる
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定価:
2,500円(税別)
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著者:
鈴木文彦
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発行:
2021年12月22日 208P
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発行所:
学芸出版社
内容
ありそうでなかった自治体財政の入門書。
特に「行政キャッシュフロー計算書」を解説するのは本書が初めてです。銀行が融資先の財政診断に使う財務書類に損益計算書がありますが、返済能力を重視する銀行は、真の「稼ぐ力」を測るため現金ベースに引き直します。この自治体版が「行政キャッシュフロー計算書」です。4つの検査値(分析指標)から借り過ぎ、赤字、金欠病の3つの病気(財政課題)を診断する方法を説明します。
伝統的な分析手法も網羅します。使うのは自治体財政を1枚に要約した「決算カード」。ただし行間の省略が多いのが難点です。そこで本書は要約前の原資料「地方財政状況調査」(決算統計)に着眼しました。中心指標の「経常収支比率」からさかのぼって分析し、決算カードのさらに奥にある決算統計の数字の森を踏み分けます。
また財政診断を切り口に様々な地域課題を分析しました。平成大合併の効果はあったのか、財政改善に資する地方創生策とは何か。公立病院や第三セクターの経営から公共インフラの老朽化まで事例を踏まえ解説します。
読者特典として、全国1741市区町村の行政キャッシュフロー計算書が簡単に抽出できる特製Excelファイルを用意しました。地方財政に興味のある方から自治体の実務家、コンサルタントから研究者まで幅広い方々にお読みいただくことを期待しています。
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目次
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第1章
地方財政の現状と既存指標の課題
1. 将来に不安を抱える地方財政
2. コロナ禍で様変わりした地方財政 -
第2章
知っておきたい自治体財務の基本
1. 事業部制でつかむ自治体財政の全体像
2. 地方財政の状況がわかる決算カードの読み方
3. 決算カードによる分析の課題 -
第3章
損益計算書による財政診断
1. “貸し手"目線で状況を把握する
2. キャッシュフロー分析指標で問題を診断する
3. 財政悪化の原因を特定する
4. 悪化の兆候をみつける意義 -
第4章
損益計算書でわかる地方財政の実態
1. 福祉費で圧迫される自治体財政
2. 都道府県の台所事情
3. 実は資金繰りが厳しい政令指定都市
4. 補助金への依存度は高いが健全な小規模自治体
5. 平成の大合併の効果はあったのか -
第5章
損益計算書を踏まえた財政改善の視点
1. 経営改善計画の考え方
2. 将来ビジョンに基づく収入の見極めと支出の順位づけ
3. 地域経済活性化と財政改善