甦る金融
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定価:
3,000円(税別)
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編著:
武藤 敏郎
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発行:
2010年8月6日発行 317p
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発行所:
社団法人 金融財政事情研究会
内容
本部は4部構成となっている。
第Ⅰ部では戦後の先進国で生じた金融危機、そして1930年代初頭の米国大恐慌と金融恐慌、97年に生じたアジア金融危機に焦点を当て、水平的に金融危機を比較した。一般に金融危機や経済危機を扱う場合、危機に遭遇した国の経済事象の深い分析を行うが、他国の出来事と共通点を抽出するうえでは、マクロ的な視野で相互比較することが有効であることを示している。
第Ⅱ部は大きな金融危機の生じた日本、英国、米国、北欧3ヵ国(スウェーデン、ノルウェー、フィンランド)について、金融危機と金融当局の対応について考察を行っている。取り上げる国ごとにアプローチにはそれぞれの独自性がみられる専門性の高い研究者が担当している。
第Ⅲ部は危機へ応用編と位置づけられる。危機後を見通した出口戦略としての処方箋とFRBの今回の対応を評価するものである。
そして、第Ⅳ部はこれらを総括し、はたして金融破綻を類型化し、その後の処理、金融再生の方法を定式化できるかどうか、すなわち、第Ⅰ章で述べられたように地理的に広がりを持ち、深刻さの程度についても相違のある金融破綻処理を収斂させることができるかという考察である。
目次
- プロローグ
- Ⅰ. 金融危機の国際比較
第1章 バブルと金融危機の国際比較 - Ⅱ. 各国金融危機への対応
第2章 わが国の金融破綻処理制度
第3章 イギリスにおける金融危機の展開と教訓
第4章 大規模で複雑な金融機関が破綻したら
第5章 Too big to fail(大き過ぎて潰せない)~システミックリスクと金融規制~
第6章 スウェーデンの銀行危機
第7章 ノルウェーとフィンランドの金融破綻処理 - Ⅲ. 金融危機の出口戦略
第8章 経済金融危機と財政政策の出口戦略
第9章 求められる「最後の貸し手機能」の新たな工夫~日本銀行とFRBの経験~ - Ⅳ. 総括
第10章(結章) 金融破綻処理は収斂するか - 年表 日、米、英、北欧の年表