カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムにおける電子商取引の法制度枠組み評価

  • 地域:カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム

  • テーマ:産業調査

ASEAN地域では、近年急速に普及するスマートフォン・モバイル端末を介した電子商取引(EC)や電子決済などに代表されるデジタルエコノミーがさらに進展していくと予想される。本事業では、ASEANの中では後発国と位置付けられるカンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム(CLMV)において、電子商取引市場が円滑に発展していくための基盤となる法制度枠組みの現状確認調査とその結果を踏まえて、今後の方向性の提案を行った。

【案件概要】

2019年4月から1年間かけて実施された「カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムにおける電子商取引の法制度枠組み評価(Assessment of the Legal and Regulatory Frameworks on Electronic Commerce in Cambodia, Lao PDR, Myanmar, and Viet Nam)」(委託元:日ASEAN経済産業協力委員会(AMEICC)事務局、日ASEAN統合基金(JAIF)を活用)に関する業務の目的と内容は以下の通りである。

近年、デジタルエコノミーの健全な発展は各国政府にとって優先課題の一つとして認識されている。中でも電子商取引は、事業者間(B2B)のみならず消費者(B2C)を直接結び付け、小売市場の規模拡大に寄与するとして、消費性向の高い人口を有するASEANでも大きな期待を寄せている。実際ASEAN加盟国は、ASEAN電子商取引協定、個人情報保護枠組みなど様々なイニシアチブやプログラムを通じて地域単位でデジタルエコノミーの推進を目指している。一方で、こうした枠組みをさらに発展する過程では、ASEAN加盟国間における情報通信インフラ環境、デジタル化の進展度合い、関連法制の成熟度などの格差が障害となっている。

このような背景から、本事業は、CLMV各国における電子商取引に関連する法制度(電子商取引、個人情報保護、消費者保護、電子決済システム等)の現状を評価し、各国が今後さらに法制度枠組み強化に向けた提言とそれを実現するための技術支援プログラムを提案することが目的であった。

大和総研は本事業にキー・コンサルタントとしてデジタル法制度について現地コンサルタントと共同で調査を行うとともに、各国政府関係者、民間企業と議論、意見交換を行い、運用面の実態把握、課題の抽出に努めた。本事業の集大成の一環として、2019年9月にビエンチャン(ラオス)において、ワークショップを開催し、CLMV4ヵ国の政府関係者及び民間事業者をはじめ、ASEAN事務局、日本政府関係者が参加した。同会ではCLMVのデジタル法制度評価結果の共有のほか、WTOやEUなどその他国際的枠組みでの議論やシンガポール、日本の事例を紹介した。これらの活動を経て、最終評価の結果を踏まえて国別の提言をまとめた。