都市給水の水質および供給力を向上するための送配水管内洗浄案件化調査

  • 地域:インドネシア

  • テーマ:官民連携

土木・建設工事業、公共水道工事(水理事業)を営む中里建設株式会社(栃木県佐野市: https://www.nakazato-const.com/)が独立行政法人国際協力機構(JICA)から受託した中小企業海外展開支援事業「案件化調査」に、株式会社建設技研インターナショナルとともにコンサルタントとして参加。同社が国内の水理事業を通じて開発したアクアピグ工法をインドネシアの公共水道事業分野に紹介し、公共水道の水質向上に貢献できる効果をアピールするとともに、同社技術のインドネシア市場への導入の可能性を検討した。

【案件概要】

2019年2月から2020年3月の期間に実施された「都市給水の水質および供給力を向上するための送配水管内洗浄案件化調査」(事業委託元:独立行政法人国際協力機構(JICA))の目的と内容は以下の通りである。
インドネシアでは、都市への人口集中が顕著であり、都市部における安全な水道水へのアクセスが不十分な現状が課題となっている。政府は、安全な水へのアクセス100%達成することを目標としているが、そのためには、古い水道施設の更新と維持管理、および飲料水供給を担当する水道公社(PDAM)の組織能力向上・人材育成が必要となる。

中里建設株式会社が開発したアクアピグ工法は、水道管内に、圧縮と復元力を合わせ持った発泡ウレタン製の洗浄器具であるアクアピグを水圧によって送り込み、水道管内との物理的な摩擦を利用して堆積物を管外へ排出する洗管技術であり、上水の水質改善効果と流量回復効果が期待できる。日本において、その効果が実証された固有の技術と位置付けられる。

本調査では、2019年8月にインドネシア国ブカシ県の水道公社と協力し、パイロット地区の水道管を選定し、アクアピグ工法の公開施工を実施した。結果として、同工法の洗浄効果は著しく、事業の面的拡大を図るには種々課題が残されているものの、技術面の適用可能性が確認された。また、本公開施工には西ジャワ州の主要な水道公社を招聘し、施工後のワークショップにて、インドネシアへの現地適合性を議論した。なお、現地調査の結果、アクアピグ工法に加え、配水池の清掃のために水中ロボットの利用もニーズがあると判断されたため、水道公社に加え、工業団地や大規模住宅地の管理会社に対しても同社の水理事業の有効性を継続して提案していくこととした。

大和総研はコンサルタントとして本調査に参加し、市場規模推計、事業の実施体制やビジネスモデルの検討について同社を支援した。

ブカシ県における公開施行とアクアピグ(2019年8月)