自動洗浄機能付搾乳システム及び生乳冷却機による生乳の品質向上に関する普及・実証事業
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地域:タイ
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テーマ:官民連携
酪農機器、産業機器メーカーのオリオン機械株式会社(長野県須坂市)が独立行政法人国際協力機構(JICA)から受託した中小企業海外展開支援事業「普及・実証事業」にコンサルタントとして参加。同社の搾乳機器及び生乳冷却機をタイの酪農場に導入し、生乳の品質向上及び作業の効率性向上に対する効果を実証するとともに、同社酪農機器のタイ市場への普及に取り組んだ。
【案件概要】
2017年10月から2019年11月の期間に実施された「自動洗浄機能付搾乳システム及び生乳冷却機による生乳の品質向上に関する普及・実証事業」(事業委託元:独立行政法人国際協力機構(JICA))の目的と内容は以下の通りである。
タイでは、所得向上、食生活の多様化等に伴って牛乳・乳製品に対する需要が伸長しており、タイ政府は供給力増大のため国内酪農業・乳業の振興を図っている。同国の酪農業が抱える課題の一つは牛乳の品質である。牛乳の品質は、生産、加工、販売の各段階で管理が必要だが、中でも上流に位置する生産段階、すなわち酪農場における品質管理の改善が重要である。外国産牛乳・乳製品の輸入が年々増加する中では酪農業・乳業の生産性向上も急務である。
オリオン機械株式会社(長野県須坂市)は日本唯一の酪農機器メーカーであり、国内のシェアは6割にのぼる。同社は、国内酪農機器市場の成長が鈍化傾向にある中、中国、台湾及び韓国への進出を果たしてきた。ASEAN地域への進出が次の目標であり、産業機械部門の拠点を有するタイを最初のターゲットと位置付けている。
同社がJICAの支援を得て実施した本事業においては、搾乳機器及び生乳冷却機を3か所の農業試験場に導入し、搾乳技術や飼養管理をテーマとする研修を実施して、生乳の品質向上及び作業の効率性向上に対する効果を検証した。並行してタイ市場の開拓に向けた展示会出展や酪農協同組合、酪農場への営業活動にも取り組んだ。タイ側カウンターパートである農業協同組合省畜産振興局の全面的な協力を得て事業を実施した結果、生乳の品質向上、作業の効率性のいずれについても顕著な改善効果が確認された。
大和総研は、本事業にコンサルタントとして参加し、事業全般の企画・立案並びに実施、各種報告書作成について同社を支援した。