食品産業グローバル革新支援事業に係る調査案件(東南アジア及びインド)

  • 地域:東南アジア

  • テーマ:産業調査

ASEAN加盟国及びインドにおいて、日本の加工食品メーカーや外食企業が合弁会社の設立やクロスボーダーM&A(合併・買収)を活用して進出した事例に焦点を当て、事業機会を高める上で有用となる情報の収集・分析を行った。

2013年9月から翌年3月の期間に、農林水産省の委託による「平成25年度食品産業グローバル革新支援事業 我が国食品関連企業のアジア諸国における事業展開事例等調査」を実施した。

我が国の食品市場の規模は縮小傾向にある一方、アジア新興国では人口が増加し、経済規模も先進国を上回るペースで拡大している。我が国食品メーカーや外食企業にとって、これらアジア市場の開拓が成長の鍵となる。海外進出に際しては新規に100%子会社を設立する方法もあるが、本調査では合弁会社の設立やクロスボーダーM&A(合併・買収)を活用して進出した事例に焦点を当て、アジア諸国で日系食品企業が事業機会を高める上で有用となる情報の収集・分析を行い、取りまとめた。本レポートでは、①日本を含むアジア諸国における加工食品(飲料含む)市場分析、②日本企業と欧米企業との比較分析、③M&Aや合弁による海外展開動向、④進出事例調査、を行っている。

①では、日本やアジア諸国の年齢別人口の推移、業界動向、加工食品市場の規模と企業占有率について整理した。ASEAN10ヵ国にインドを加えた地域では、加工食品、酒類・飲料の全てのカテゴリーで市場規模が拡大する見通しである。

②では、世界の売上高上位企業の規模と収益性、海外展開と収益性の関係、主なグローバル企業の海外展開の歴史や戦略について整理した。収益性を左右する一因として、海外展開の時期や海外展開方法の影響があると考えられる。

③では、世界におけるM&Aの動向について整理した。日本企業による大型案件は酒類・飲料セクターで複数件実施されている。アジア諸国へのM&Aや合弁設立は、販路の確保など自社に不足する機能を補完し、スピーディーな立ち上げをするための手段として活用されている。

④では、進出企業へのヒアリングを踏まえ、食品関連企業のアジア事業戦略のポイントを整理した。(1)十分な事前調査を基に新規進出分野や補強すべき海外事業が明確となっていること、(2)自社の成長戦略の中で取れるリスク(主に財務)に見合う進出形態の選択、 (3)M&Aに関する迅速な意思決定体制の構築、などが挙げられる。