ミャンマー成長企業育成情報収集・確認調査および銀行調査

  • 地域:ミャンマー

  • テーマ:金融資本市場

ミャンマーでの「投資ファンド」設立に向け、法整備・税務面から可能な設立形態を検討するとともに、ファンドの運営方針等を考察した。また、ミャンマーにおける銀行セクターに関する法制度、規制、および近代化の展望に関する調査に加えて、ツー・ステップ・ローンの実施の準備調査として、同国の国営・民間銀行の融資業務の実態把握、財務・経営情報の入手・分析を行った。

本成長企業育成情報収集・確認調査(委託元:国際協力機構(JICA) 調査期間:2012年10月~2013年7月)は、ミャンマーの経済成長の中核となる成長企業の育成を目的とした成長企業育成ファンドを設立することを前提に、ミャンマーの金融・資本市場の現状調査および課題の抽出を行うとともに、ファンド設立のための法的枠組みの整理を行うことにより、投資関連制度の整備に資することを目指した。同時に、同ファンドを通じた投融資による資金支援および経営改善指導などの技術支援の実施により、投資先企業の育成を図るためのスキームの整理を目的とした。成長企業への投資と技術支援による将来の上場企業の育成、ひいては証券市場の育成へとつながる本調査は、ミャンマー企業の国際競争力を高め、ミャンマー工業化や近代化に寄与していくものである。

成長企業育成ファンドは、民間の投資資金や経営改善支援に加え、JICAの海外投融資やツー・ステップ・ローンによる資金供給、さらに、技術支援や日本センターによる支援を通じ、官民一体となってミャンマー企業の経営改善・競争力強化、ひいてはミャンマー経済の底上げを図るものである。JICAが支援を実施するにあたっては、相手国政府の積極的な関与が前提となるが、ミャンマー国内企業の育成支援により大きな効果が期待できることから、市場経済化を重要課題として位置付けるミャンマー政府の主体的な関与を得ることが可能である。加えて、同国政府の理解および協力を確実にするため、ファンドの運営会社を国営金融機関と共同で設立するなどの方策について提案し、議論を進めた。また、同ファンドは、JICA海外投融資に対する基本的考え方、「開発援助機関であるJICAが『有償資金協力』として行う『開発事業』への資金供給」であること、および、「既存の金融機関では対応できない、開発効果の高い案件への対応」であることに適合すると判断される。成長企業育成ファンドは、日本の民間部門の資金により設立するものであり、JICAの支援ツールを組み合わせ、一連のパッケージとして進めていくことで、資本市場育成および市場経済化に向けた支援の効果が最大化されることが期待できる。投資や経営支援の提供等による成長企業の育成、投資対象企業の上場を通じた資本市場の発展に加え、JICAによるツー・ステップ・ローンの供与によるミャンマー国内銀行の融資・審査ノウハウの蓄積など、その波及効果は金融・資本市場に広く効果をもたらすものと考えられる。