ミャンマーへの建設企業等の海外展開促進に向けた建設市場の現状調査

  • 地域:ミャンマー

  • テーマ:産業調査

「日本再興戦略」において掲げられたインフラシステムの受注拡大の為に、アジアの中の有望市場であるミャンマーを対象に、①インフラ関連市場の現状、②法制度の整備・運用状況を把握するとともに、③インフラ関連市場への参入に関する課題の整理と対策案を図ることを目的に調査を行った。

2014年9月から2015年2月の期間に実施されたODA対象国への建設企業等の海外展開促進に向けた建設市場の現状調査(ミャンマー)の背景と目的は以下の通りである。

2013年6月に閣議決定された「日本再興戦略」においては、「2020年に約30兆円のインフラシステム受注」が掲げられており、このためにはアジアの新興国において我が国の建設企業等のインフラ関連産業が我が国の持つノウハウ・経験を活かしてさらに受注を拡大することが不可欠である。その際には、新興国での事業リスクも軽減していくことが欠かせない。この背景を踏まえ、経済連携協定に係る交渉と並行し、建設等インフラ制度の最新動向を把握するとともに、我が国企業進出上の課題を抽出・整理することにより、我が国建設企業等の海外展開の促進を図ることとなった。

以上を踏まえ、同調査においてはアジアの有望市場であるミャンマーを対象とし、下記の項目について調査を行った。

  1. 同国の現況(人口、経済状況、社会資本の整備状況、日本企業の進出状況、企業活動及び海外投資に関する法規など)
  2. 同国の建設等インフラ関連市場の現状(各市場の動向、日本/各国企業の進出状況、関連業界の実態、資機材及び技能工の調達事情、現地での企業設立の法規制及び事業実施に係る法規制など)
  3. 現地における制度の運用状況やビジネス慣行、事業実施上のトラブル等
  4. 上記3項目を踏まえた、同国の建設等インフラ関連市場への参入に関する課題及び対応案の取りまとめ


本件業務の実施に当たっては、日系大手ゼネコン1社と共同提案体を組成し、当社が人口や市場動向、資金調達等に係る分野を担当、共同提案パートナーが建設業界の実態や制度の運用状況等を担当する体制で協働を行った。また、建設・不動産・外国投資に係る法規制の項目については日系法律事務所、ミャンマー法律事務所に対してそれぞれ共同提案体より再委託を行い、専門家の視点に基づく報告書の作成につなげた。

調査事業を通じ、ミャンマーでの法体系整備が道半ばであることや不動産市況が急騰状況にあることが改めて確認された中、日系企業の海外展開促進の選択肢としてはミャンマー/日本政府との官民連携(PPP)を通じた事業展開が有望であるとの考察に至った。本調査報告においては、その考察も踏まえて日ミャンマーPPP事業の可能性についても検討を行い、有力と考えられるスキームに関する提言も盛り込んだ。