バングラデシュの投資・市場環境、及び南アジア地域協力連合(SAARC)の利用可能性調査

  • 地域:バングラデシュ

  • テーマ:投資環境

近年高い経済成長を続けているバングラデシュの投資・市場環境を調査分析するとともに、日本企業による南アジア地域協力連合(SAARC)の利用可能性について行う。

2014年8月から2015年2月の期間に実施された平成26年度エマージング等市場対策「バングラデシュの投資・市場環境、及び南アジア地域協力連合(SAARC)の利用可能性」(調査委託元:日本機械輸出組合)に関する調査業務の背景と目的は以下の2点である。

  1. 近年、バングラデシュは実質GDPベースで年間5~6%の経済成長を続けており、海外からの直接投資が増加する中、今後も縫製産業を中心にしつつ、輸送用機器・機械製品などの製造業発展も見込まれる。また、同国は約1億5,000万人の人口を擁することから経済発展とともに国内消費市場の拡大が期待される。このように生産・消費両面での期待が高まる中、第1には、投資環境調査を通じた日系企業への同国の情報提供が求められることとなってきている。第2に、調査委託元の業界団体においては今後の家電市場獲得に向けた調査分析へのニーズも存在しており、現地情報を踏まえた提言が必要となった。第3には、同国におけるインフラ案件の事業機会に関する情報ニーズも高いことを踏まえ、安倍首相の訪問時に約束された総額6,000億円の円借款供与を視野に入れた今後の事業機会についての情報を取りまとめることとなった。
  2. また、バングラデシュは成長著しいミャンマーやインドと国境を接し、一国としてのみではなく、隣国経済との連結性強化をも通じた広域サプライチェーン構築の観点からも注目される国である。そのため、南アジア地域での経済統合を目標としている南アジア地域協力連合(SAARC: South Asian Association for Regional Cooperation)による取り組みの見通し、ならびに貿易自由化の動向を踏まえた企業展開に関する調査提言を行うことも目的となった。


当調査においては、国内での文献調査や企業面談に加え、バングラデシュ現地においても日系企業、会計事務所、政府機関等からのヒアリングを行い、現地の実情を踏まえて投資環境情報を取りまとめた。また、家電市場についてはダッカ・チッタゴン・コックスバザールの3都市において実地調査を行うとともに、現地調査会社からの情報収集も実施し、同国における家電市場獲得に向けた分析・提言を行った。インフラ案件の事業機会については、日本国政府の援助に基づき策定されたマスタープラン等の情報を整理するとともに、現地管轄官庁が有する情報や実際の進捗状況とを合わせて、報告をまとめた。

SAARCの利用可能性については、関税削減の状況を分析するとともに、UNCTADデータを用いてSAARCとASEANの貿易構造の対比も行った。並行して、バングラデシュが加盟するベンガル湾多分野技術経済協力イニシアティブ(BIMSTEC)との比較も行い、今後の進捗に対する見方も提示した。