ミャンマー国交通信号機設置による交通環境改善実証事業

  • 地域:ミャンマー

  • テーマ:官民連携

ミャンマーにおいては、交通量が急増する一方で、ヤンゴン市内の道路交通インフラ、特に交差点は、それに対応する十分な処理能力を有していない。日本の交通信号ビジネスにおける豊富な経験と技術を活用し、ヤンゴン市の健全な経済成長に貢献すべく、弊社の支援により株式会社和幸製作所が同市に日本水準の信号機を導入し、同市における交通渋滞の緩和、交通事故の防止、さらに渋滞に伴う公害の防止を図った。

JICA中小企業海外展開支援プログラム「普及・実証事業」は、我が国の中小企業等の製品・技術が途上国の開発にあたり有効であることを実証するとともに、現地での適合性を高めることで、その普及を図ることを目的としたもので、2013年5月に第一回の公示が行われた。このプログラムの応募にあたって弊社が支援を行った株式会社和幸製作所(埼玉県さいたま市)は、「ミャンマー国ヤンゴン市での交通信号機設置を通じた交通環境改善に関する普及・実証事業」においてその業務を委託されることとなった。

ミャンマーでは現在、経済改革の進展に伴い、最大都市ヤンゴンへの人口集中や急速な自動車の増加により交通渋滞が慢性化している。その一方で、信号機の数が絶対的に不足しており、同時に、電力供給も不安定なため、信号機の停電による稼働停止や故障が頻発し、交通管制に必要な機能を果たす設備の整備が交通量の増大に追い付いていないのが現状である。

株式会社和幸製作所は、50年間にわたり信号灯器・制御機器等の製造に携わり、日本の交通管制システムを支えてきた。本事業では、管制システム導入の対象としてヤンゴン市内で交通混雑が激しく、渋滞のボトルネックとなっている交差点を1カ所特定し、当該交差点につながる周囲の9交差点を選定した。これら10交差点に交通信号設備を設置し、適切な制御によって交通流を対象エリアの道路全体に平準化させ、ボトルネック地点の渋滞を緩和するとともに、実証エリア全体の交通流の円滑化を図った。また、それらを統括制御するシステムをミャンマー国として初めて導入し、渋滞緩和を目的とする地域交通制御モデルも構築した。停電時でも安定的に稼働するバッテリーを装備した機材の設置と適切な交通信号制御を通じて交通流を統制した結果、対象エリア全体の渋滞の軽減が交通量調査を通じて定量的に証明された。本交通信号設備は2014年12月12日より稼働している。

交通信号設備導入による渋滞緩和の効果に対し、交通信号設備のハード面の品質と、交通マネジメント・システムの両面が高く評価され、現地政府から「今後、本格的に日本製の信号機を導入することを検討する」とのコメントも出された。株式会社和幸製作所としては、ヤンゴン市内での製造拠点の設置や、ヤンゴン市以外の都市にも交通管制システムの販売を展開することも検討しており、ミャンマー国でのさらなるビジネスの拡大を計画している。