ミャンマー機械産業の市場環境と日系企業の事業機会

  • 地域:ミャンマー

  • テーマ:産業調査

我が国機械産業にとってのミャンマー市場の将来性を分析するとともに、ミャンマーの事業環境の特徴を整理し、進出日系企業への取材を通じ事業環境に関する課題と対応策のヒントを整理。さらに、ミャンマーの小売店での売れ筋家電、決済方法等につき調査を実施。日系家電メーカーのミャンマーでの販売拡大における留意点を取りまとめ、今後の日本企業の事業戦略立案に役立てた。

2012年9月から翌年3月の期間に、日本機械輸出組合より受託した「ミャンマーにおける機械産業の市場環境と日系企業の事業機会」の調査を実施した。

我が国の家電業界にとってミャンマーは、5,000万人を超える人口を抱える市場の潜在性や豊富で安価な人的資源などが魅力であるが、周辺国に比べて情報が少ないという課題があった。そこで本調査では、日系家電メーカーがミャンマーで販売を拡大させるための方法を探るため、有用となる情報の収集・分析を行い、取りまとめた。本レポートでは、①ミャンマー市場の概要、②投資・事業環境分析、③生活実態、④家電市場調査と事業戦略分析、を行っている。

①では、貿易動向、対内直接投資、産業動向、政治情勢などについて整理した。

②では、外国投資法と会社設立、税制や貿易などの制度、労働事情、インフラ・物流事情、競合・協業企業について整理した。2012年に成立した新ミャンマー外国投資法や翌年に発表された施行細則によると、外国企業にとって進出の魅力度は改善した(優遇税制措置の改善等)ものの、参入制限があるなど懸念事項が残る。投資環境上の課題としては、電力コストの高さ、部材調達と物流の難しさ、不透明な制度運用が挙げられる。調査時点では、製造拠点としての優位性は高くない。

③では、所得水準、家計消費、物価、電化率、耐久消費財の普及率について調査した。ミャンマーの所得水準は日本の約10分の1と低いうえに家計消費における食費の割合は72%にも達する。耐久消費財普及率はテレビが著しく高く、ヤンゴンやマンダレーでは90%を超えた。

④では、市場の概要と事業戦略分析を行い、代理店の活用や市場開拓に向けた対応策、企業形態について分析した。実際にテレビや冷蔵庫、エアコンなどの家電販売台数は本調査実施時点までの直近5年間で増加している。ヤンゴンにおける家電シェアは日本ブランドがトップを占める。ミャンマー市場開拓に向けた対応策としては、(1)ターゲット都市をヤンゴン、マンダレーに絞ること、(2)物流面のパートナーを確保すること、(3)サービスセンターを設立すること、(4)市場特性に対応することなどを列挙した。