東アジア食品産業海外展開支援(タイ、ベトナム、ミャンマーの食品市場環境調査)

  • 地域:タイ・ベトナム・ミャンマー

  • テーマ:産業調査

我が国の食品産業は、国内市場が成熟化する中で、原料等の調達力の向上と日系企業の海外市場におけるマーケットシェアの拡大による事業基盤や国際競争力の強化を図ることが必要となってきている。ミャンマー、タイ、ベトナムにおいて、現地調査を通じて食品関連市場の実態や法規制、商慣行など、日本の食品企業のビジネス機会を高めるための情報につき、収集・調査・分析を行った。

農林水産省「平成24年度農山漁村6次産業化対策事業に係る東アジア食品産業海外展開支援事業」の補助事業として、2012年8月から翌年3月の期間で、「タイ・ベトナム・ミャンマーにおける食品市場環境調査」を実施した。

我が国の食品産業は、国内市場が成熟化する中で、原料等の調達力の向上と日系企業の海外市場におけるマーケットシェアの拡大による事業基盤や国際競争力の強化を図ることが必要となってきている。そこで、海外直接投資の増加を背景に著しい発展を遂げているASEANが注目されている。中でも、経済発展段階の異なるタイ、ベトナム、ミャンマーの3ヵ国を調査対象とした。各国とも、所得水準の上昇、人口増加が予想されており、食品市場への期待は高い。現地調査を通じて食品関連市場の実態や法規制、商慣行など、日本の食品企業のビジネス機会を高める情報を収集・調査・分析した。

まず、ASEAN諸国の概要を総括した上で、食品関連企業の進出先という観点で対象3ヵ国を比較した。法整備され進出要件が明確なタイ、規制はあるものの運用が曖昧なベトナム、法が未整備で明確な規定がないミャンマー、とそれぞれの特徴があるが、各国とも今後の規制緩和が期待される。食品市場の各セクターにおいても3ヵ国の市場動向や商慣行などの比較を行い、特徴をとらえた。食品加工業では、1人あたり年間食品支出額の増加がGDPの上昇に伴っている。食品小売業においても、1人あたり所得に応じてモダントレード(スーパーマーケットやコンビニエンスストアなど)売上高比率が上昇する傾向にある。外食業においても、所得と支出額は比例する傾向にあるものの、外食文化の根付いたベトナムは例外的にタイよりも大きい値となっている。

各国編では、実際に進出する際に係る規制や手続きなどを整理した上で、今後期待されるカテゴリーについての提案を行った。タイでは、消費チャネルとライフスタイルの急速な変化により、インスタント食品に対するニーズが大きい。ベトナムでも同様に、より手軽な食事が求められるようになっているが、外食文化が根強いこともあり、テイクアウト商品の可能性に注目している。ミャンマーでも、保存可能な加工食品に加え、食の欧米化が進むことによる乳製品のニーズが高まることを予想した。