オルタナティブ投資のリスク管理ガイドラインを発表
2006年06月19日
リスク管理フォーラムは、2006年10月1日以降、
株式会社大和ファンド・コンサルティングに移行しました
- 日本初のガイドラインを策定 -
大和総研(略称:DIR、本社:東京都江東区冬木15-6、社長:武本嘉之、資本金:38億9,800万円)が事務局を行うリスク管理フォーラムは、オルタナティブ投資に関する年金運用向けリスク管理ガイドラインを策定いたしました。オルタナティブ投資を念頭においたリスク管理についてのガイドラインは、日本初の試みで、年金基金等機関投資家の運用管理に役立つことが期待されます。
ヘッジファンド投資や不動産投資など、いわゆる「オルタナティブ投資」が年金基金や金融機関の資産運用にも登場してきましたが、そうしたオルタナティブ投資についてのリスク管理の必要性は十分認識しているものの、年金運用にとってのリスク管理基準がないことから、リスク管理は置き去りがちとなっているのが現状でした。
年金運用のリスク管理を主目的に年金基金、運用機関、コンサルタントの三者で2000年に結成されたリスク管理フォーラムは、今回、「オルタナティブ投資セッション」として、年金プランスポンサーによる「オルタナティブ投資」のための「リスク管理ガイドライン」の策定を目的として活動して参りました。実質的な討議はワーキング・グループで行われ、昨年9月からガイドラインの策定に取り組んで参りました。ワーキング・グループのメンバーは、31の機関からなり、KDDI企業年金基金、TDK企業年金基金等10の年金プランスポンサー(企業年金、共済組合等)、大和住銀投信投資顧問やメリルリンチ・インベストメント・マネジャーズ、三菱UFJ信託銀行、住友信託銀行等16の運用機関、東京証券取引所、企業年金連合会等5つのオブザーバーから構成されます。
特に、今回のオルタナティブ投資セッションでは、早稲田大学大学院ファイナンス研究科の諸先生方(下記参照)のご協力を得て、各専門部会に分かれてより濃密な議論を重ね、この度、その討議内容を取りまとめ、リスク管理ガイドラインを策定するに至りました。
また、来る7月3日にはリスク管理フォーラム参加全機関(一般会員およびワーキンググループ・メンバー)による最終報告会を開催し、当セッションのリスク管理ガイドラインのご報告を行う予定です。なお、会員の皆様にご承認をいただいた最終報告書は、オルタナティブ投資を行う機関投資家の皆様にリスク管理の一助としてご利用いただくことを目的として自由な頒布を行えることといたします。
ワーキング・グループ座長、分科会長は以下の通りです。
<ワーキング・グループ座長>
早稲田大学大学院ファイナンス研究科 米澤 康博 教授
<ヘッジファンド投資分科会長>
早稲田大学大学院ファイナンス研究科 四塚 利樹 教授
<不動産投資分科会長>
早稲田大学大学院ファイナンス研究科 川口 有一郎 教授
リスク管理フォーラム最終報告会ご案内
- 日時:2006年7月3日(月) 14:00~16:00(13:30受付開始)
- 場所:東京商工会議所ビル 国際会議場
- 千代田区丸の内3丁目2番2号 東京商工会議所ビル7階
内容:
- ご挨拶
大和総研 代表取締役副社長 中村 康男 - リスク管理ガイドラインの概要について
リスク管理フォーラム ワーキンググループ座長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授 米澤 康博様 - ヘッジファンド投資のリスク管理について
リスク管理フォーラム ワーキンググループヘッジファンド投資分科会長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授 四塚 利樹様 - 不動産投資のリスク管理について
リスク管理フォーラム ワーキンググループ・不動産投資分科会長
早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授 川口有一郎様 - パネル・ディスカッション
司会:
リスク管理フォーラム ワーキンググループ座長 米澤 康博様
パネラー:
ヘッジファンド投資分科会 山崎製パン企業年金基金 野口裕晃様
ヘッジファンド投資分科会 住友信託銀行 井戸照喜様
不動産投資分科会 大日本インキ企業年金基金 近藤英男様
不動産投資分科会 三菱UFJ信託銀行 代田秀雄様 - 最終報告書承認決議
以上
【ご参考】
リスク管理ガイドラインの構成
策定したオルタナティブ投資のためのリスク管理ガイドラインは、冒頭、オルタナティブ投資全般に関するものについての項目で構成され、以下、「ヘッジファンド投資」と「不動産投資」に分けてリスク管理項目が構成される。
特徴
- 年金プランスポンサーの年金運用プロセスに則した構成
- PLAN-DO-SEE循環に則して構成し、その中でチェック項目を位置づける
- 「運用の基本方針」、運用会社に示す運用ガイドライン等を配慮
- 年金プランスポンサーの運用制約を考慮した範囲の設定
- 既に政策資産配分が位置づけられている中で、オルタナティブ投資を実践的な考え方のもとに位置づける
- 年金プランスポンサーはREITへの直接投資よりも私募不動産ファンドやREITファンドへの投資の方が多いと考えられることを配慮した構成とする
- どの程度まで年金スポンサー自身でチェックできるか、現実的な実務を踏まえたチェック項目の作成
- 年金プランスポンサー以外の機関投資家の利用にも十分役立つ内容
1.導入目的の明確化 |
2.投資対象の選定 |
3.政策資産配分上の位置づけの明確化 |
4.運用基本方針の策定 |
5.リスク管理体制 |
1.ヘッジファンドの導入目的の明確化 |
2.ヘッジファンドの特徴とリスクの把握 |
3.投資形態の決定 |
4.政策資産配分上の投資枠の決定 |
1.ファンド選定 |
2.投資金額の決定 |
3.運用方針の確認 |
1.モニタリング |
2.リバランス |
3.ガイドラインの見直し |
1.不動産私募ファンドの導入目的の明確化 |
2.不動産私募ファンドの特徴とリスクの把握 |
3.主たる投資対象の決定 |
4.政策資産配分上の投資枠の決定 |
1.ファンド選定 |
2.利益相反的行為の排除 |
3.投資金額の決定 |
4.運用ガイドラインの策定 |
1.モニタリング |
2.今後の運用方針に関する運用機関との協議 |
1.REITファンドの導入目的の明確化 |
2.REITファンドの特徴とリスクの把握 |
3.主たる投資対象の決定 |
4.政策資産配分上の投資枠の決定 |
1.マネージャー選定 |
2.投資金額の決定 |
3.運用ガイドラインの策定 |
1.モニタリング |
2.今後の運用方針に関する運用機関との協議 |