越境EC

 越境EC(Cross-border Electronic Commerce)とは、国境を越えて商品やサービスを購買する電子商取引(EC)の形態です。越境ECは世界的に拡大しており、日本においても例外ではありません。経済産業省によると、2022年における日本から中国に対する越境ECの市場規模は2兆2,569億円(前年比5.6%増)、中国から日本に対する越境ECの市場規模は392億円(前年比7.3%増)、日本から米国に対する越境ECの市場規模は1兆3,056億円(前年比6.8%増)、米国から日本に対する越境ECの市場規模は3,561億円(前年比5.9%増)となっています(*1)。

 世界の越境EC市場は特にアジア太平洋地域や欧米を中心に成長しており、品質の高い日本の商品やサービスは同市場でも高く評価されています。特にアジア諸国からの需要が増加しています。また、最近のインバウンド旅行者の増加により、日本製品への関心が高まっており、帰国後の越境ECの利用機会も増えています。

 越境ECのメリットは、地域に依存しない市場の拡大と、多様な顧客基盤へのアクセスです。一方、言語の障壁、文化的な違いによるマーケティングの検討、物流コストの問題、異なる国の関税や法規制への対処など多くの課題も存在します。これらの課題に対応することが、日本企業がグローバルな市場で成功するための鍵となります。

 最新技術の活用は、これらの課題を克服する上で役立ちます。AIビッグデータ、自動翻訳技術などは、消費者の行動を理解し、パーソナライズされた体験を提供するのに役立ちます。日本企業も、これらの技術を利用して越境ECを展開しています。
 デジタル化のさらなる進展により、越境EC市場は今後も成長を続けると予想されます。日本企業にとっては、国際的な市場へのさらなる扉が開かれる新たなビジネスチャンスとなるでしょう。

参考文献

(*1)経済産業省「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」
https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002-1.pdf

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