e-fuel(合成燃料)

 e-fuel(合成燃料)とは、二酸化炭素(以下、CO2)と水素(以下、H2)を原料にして合成する燃料のことです。再生可能エネルギー由来のH2と、大気中のCO2を使用して合成することから、合成時のCO2の吸収と自動車走行時のCO2排出を相殺することでカーボンニュートラルとなるクリーンなエネルギーとされています。利用用途は、化石燃料の代替燃料として、主に自動車や航空機における活用が期待されています。
 類似の用語にバイオ燃料がありますが、こちらは穀物や植物性油脂から製造される燃料のことを指します。バイオ燃料はすでに実用化されており、主にガソリンや軽油代替燃料として広く使用されています。CO2を吸収する植物を原材料として用いるため、e-fuel同様クリーンなエネルギーである一方、使用量の増加が食用油脂や穀物の価格高騰の要因となるなどの課題もあります。
 対して、e-fuelは空気中のCO2を利用して製造されるため、バイオ燃料のような食料需給への影響はないというメリットがある一方、製造プロセスにおける非効率性や高コストなどの課題から、現時点でまだ本格的な実用化には至っていません。利用の拡大には、効率的な製造プロセスの確立とともに、原料であるH2の低価格かつ安定的な確保も必要です。日本政府はこうした状況を踏まえ、グリーン成長戦略の中で2040年までの自立商用化を目指すロードマップを描いて、e-fuelの実用化を推進しています。