SDGs

 SDGsとは、2015年に国連総会で採択された、2030年までに世界全体で持続可能な社会の実現を目指すための国際目標です。目標は17種類にわたり、持続可能性を構成する3本柱と呼ばれる「社会」、「経済」、「環境」を統合的に捉えたものとなっています。 本記事では、SDGsの概要と日本における取り組みを概観します。

SDGsとは

 SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標、エスディージーズ)は2015年に国連総会で採択された、2030年までに世界全体で持続可能な社会の実現を目指すための国際目標です。2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として採択されました。地球上の「誰一人取り残さない(Leave no one behind)」ことを理念に掲げています。

図表:SDGsの17目標

(出所)国際連合広報センター

 目標は17種類にわたり、「貧困をなくそう」(目標1)などの社会・開発関係の目標から、「働きがいも経済成長も」(目標8)などの経済関係の目標、「気候変動に具体的な対策を」(目標13)などの環境関係の目標など、持続可能性を構成する3本柱と呼ばれる「社会」、「経済」、「環境」を統合的に捉えたものとなっています。さらに、「平和と公正をすべての人に」(目標16)というガバナンスに関する目標や「パートナーシップで目標を達成しよう」(目標17)といったSDGs達成のための手段も目標に含まれています。

 SDGsは17目標の下に、目標を細分化した169ターゲットがあります。さらにその下の247(重複を除くと231)指標によって目標の進捗が把握できる仕組みとなっています。たとえば、目標1「貧困をなくそう」の下には、貧困が撲滅された状態を定義した7つのターゲット(極度の貧困の撲滅や相対的貧困の半減など)、その下にターゲットの進捗を定量的に測るための指標(極度の貧困の撲滅については、国際的な貧困ラインを下回って生活している人口の割合)が設定されています。

政府・自治体の取り組み

 日本政府はSDGs推進に際し、17目標を8分野の優先課題に整理し、毎年策定されるアクションプランに基づき実行しています。加えて、企業や団体のSDGs達成に資する取り組みを促すため、2017年から毎年「ジャパンSDGsアワード」を開催し、優れた取り組みを表彰しています。

<優先課題(抜粋)>

  • あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現
  • 成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション
  • 省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会

(出所)「SDGs実施指針改定版」(2016年12月22日SDGs推進本部決定、2019年12月20日一部改定)より抜粋

 さらに、地方公共団体(自治体)でもSDGsへの取り組みが進んでいます。⾃治体におけるSDGs達成へ向けた取り組みは⼈⼝減少や地域経済の縮⼩等の地域課題の解決につながり、SDGsを原動⼒とした地⽅創⽣を推進することが期待されています(「地方創生SDGs」)。内閣府は優れたSDGsの取り組みを提案・実施する自治体を支援し、成功事例の普及を目指す「SDGs未来都市・自治体SDGsモデル事業」を推進しており、既に約180の未来都市、60のモデル事業が選定されています(2023年5月時点)。

 SDGsを活用した地方創生の実現にあたって、金融(金融機関)が果たす役割に期待が寄せられています(「地方創生SDGs金融」)。金融機関は金融市場から調達した資金を活用して、地域課題の解決に取り組む地域事業者を支援します。地域事業者はそうして得た収益を地域に還元し、再投資へと回します。この好循環が発現することで、SDGs達成に向けた取り組みの加速が期待されています。

民間企業の取り組み

 民間に目を向けると、2015年の採択以降、SDGsへのコミットメントを表明する日本企業が増えています。SDGsは国連総会で採択された国際目標であるため、取り組みの主体は政府となります。しかしながら、企業が環境や社会に与える影響は大きく、企業に行動を求めているSDGsのターゲットもあるなど、SDGsの達成には企業の貢献が不可欠です。政府は企業に対して、経営戦略の中にSDGsを据え、さらに個々の事業に落とし込むことで持続的な成長を図ることなどを求めています。

 SDGsが企業に広がったきっかけの1つにESG投資の拡大があります。SDGsの採択と同じ2015年に、日本最大の機関投資家である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国連責任投資原則(PRI)に署名し、投資プロセスにおいてESG情報を考慮することになりました。機関投資家によるESG投資の拡大と、投資先の企業・団体によるSDGsの取り組みは表裏一体の関係にあることから、大企業を中心にSDGsへの取り組みを加速させる追い風となりました。

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