スタートアップ

 スタートアップとは、一般的には「独自の革新的なアイデアや技術を強みにし、新しいビジネスモデルにより短期間で急成長(スケール)を目指すために起業された会社(またはプロジェクト)」を意味します。この言葉は、1990年代から2000年代初頭にかけて米国で広く使われるようになり、急拡大・急成長の潜在性を持つ創業して間もない企業を指すために使われました。典型的なイメージとしてはGAFAM(ガーファム)(※)などの巨大化したテック企業の創業初期の形態が挙げられます。
 多くのスタートアップは、特にビジネスモデルの模索、開発、検証の段階では投資を先行させ、赤字を計上します。そのため、ベンチャーキャピタルなどの投資家から効果的に資金調達を行うことが成功の重要なポイントとなります。投資家はスタートアップの成長を支援し、急成長による企業価値の増大を図り、最終的にはM&AやIPOにより株式を売却し、投資回収と収益化を目指します。
 近年、ディープテックという言葉が使われるようになりました。これは、人工知能(AI)量子コンピューティング、ライフサイエンス、宇宙関連など、人類社会に大きな影響を与えうる革新的で難度やリスクの高い科学技術を指し、このような分野のスタートアップへの投資に注目が高まっています。代表的なディープテック分野の企業としては、生成AIのオープンAIや宇宙関連でイーロン・マスク氏率いるスペースXなどが挙げられます。
(※)グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフトの5社

 日本においては、2022年11月に「スタートアップ育成5か年計画」と詳細なロードマップが策定されました。この計画は、日本経済の活性化やグローバル競争力の強化を目指して、2022年を「スタートアップ創出元年」と位置付け、「日本にスタートアップを生み育てるエコシステムを創出する」としています。当面の数値目標としては、年間8,000億円規模となっているスタートアップへの投資額を、官民一体での取組を進めることで、2027年度に10兆円規模にすることを掲げています。さらに、「将来においては、ユニコーン(※)を100社創出し、スタートアップを10万社創出することにより、我が国がアジア最大のスタートアップハブとして世界有数のスタートアップの集積地になることを目指す」、というビジョンも示されました。
(※)時価総額が10億米ドル以上の株式未公開(未上場)のスタートアップ企業を指す用語

レポート・コラム

2023年03月30日
事業会社によるスタートアップ投資動向2022 2023年03月30日 | 大和総研 | 大川 穣

2023年01月19日
岸田政権の「スタートアップ育成5か年計画」と東証の「IPOプロセスの見直し」 2023年01月19日 | 大和総研 | 小島 一暢

2022年06月20日
中長期的観点からのオープンイノベーション促進税制見直しの必要性 2022年06月20日 | 大和総研 | 斎藤 航