量子コンピューティング

 量子コンピューティングとは、量子の持つ特有の「重ね合わせ」や「量子もつれ」といった物理状態を活用して、高速な計算を実現するコンピュータのことです。従来のコンピュータでは「0」か「1」どちらかの状態しか表現できませんでしたが、量子コンピュータでは量子の持つ粒子性と波動性を応用して、同時に複数の状態を表現することができます。

 さらに、順次探索的な従来のコンピュータの計算方式と異なり、表現した複数の状態を一度に並列処理した後、正しい解を選択する仕組みとなっています。そのため、税金の計算といった正確な値の算出よりも、機械学習における学習効率の向上といった用途に活用できると考えられています。

 量子コンピュータの一部である「超伝導量子プロセッサ」といった演算装置は様々な企業で既に開発されています。現在、日本ではIBMの27量子ビットのコンピュータが稼働し、2023年には64量子ビットの国産初号機が発表される予定です。なお100万量子ビットを搭載し、かつ量子誤り訂正が可能な量子コンピュータを、2029年までに開発することをGoogleが発表しています。