パーパス(Purpose)とは、目的、目標、意図などを意味する英単語です。企業経営や企業戦略を説明する場面で使われる“パーパス”は、企業の「存在意義」や「事業の目的」などを指します。
パーパスとは
企業経営や企業戦略を説明する場面で使われる“パーパス”は、企業の「存在意義」や「事業の目的」などを指します。経営理念や社是、社訓といったものを通じて“パーパス”を示す企業もあれば、その上位の概念として自社の“パーパス”を掲げる会社もあります。企業の存在意義を明確にし、経営方針などに反映させることを「パーパス経営」、“パーパス”を起点に経営戦略を立案したり、業務遂行したりすることを「パーパス・ドリブンな経営戦略」「パーパス・ドリブンの実践」と表現することもあります。
パーパスが注目されるようになった背景
近年、企業経営においてこの“パーパス”が注目されるようになったきっかけの1つに、米国の経営者団体であるBusiness Roundtableが2019年に公表した“STATEMENT ON THE PURPOSE OF A CORPORATION”が挙げられます。1997年以降、同団体は株主に利益を提供することが企業の目的だと位置づけていました。しかし、2019年に方針を転換し、株主だけではなく、顧客や従業員、取引先も含むすべてのステークホルダーに価値を提供することが企業の目的であると表明しました。
企業のパーパスとステークホルダー資本主義
2008年のリーマン・ショックの反省から、企業や株主である投資家に対して、短期的な利益を追求するのではなく、中・長期的な企業価値向上を目指すことが求められるようになりました。2015年のSDGsやパリ協定の採択を契機に、企業に対して環境や社会への影響を考慮したビジネスを求める声も高まっています。2020年のダボス会議(※)では、企業は収益(株主の利益)の最大化だけでなく社会全体の役にも立つべきで、企業が持つ能力とリソースは収益の獲得だけでなく社会全体の課題(例えば所得の不平等、社会の分断、気候危機など)を克服するための取り組みにも振り向けるべきであるとする「ステークホルダー資本主義」が議論されました。
企業の“パーパス”はその性質からして頻繁に見直すものではありませんが、こうした国際的な動向を背景に、日本においても“パーパス”の見直しを行う、経営理念などの上位概念として新たに位置づけるなどの対応を行う企業がみられます。
※官民連携を促す国際機関である世界経済フォーラムが毎年開催している総会のことです。
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