ラムサール条約

 ラムサール条約は、国際協力を通じた湿地の生態系の保全を目的とした国際条約で、正式名称を「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」といいます。1971年にイラン北部のカスピ海に面する町、ラムサールで開催された国際会議で採択されたことから、「ラムサール条約」と呼ばれています。

 ラムサール条約で定義される「湿地」には、湿原や湖沼、河川等だけではなく、マングローブ林や干潟、藻場、サンゴ礁、水田、ため池、ダム湖等、多様な水域が含まれます。条約の採択当初は、水鳥の生息地としての湿地の役割に重点が置かれていましたが、現在では湿地の生態系が果たすさまざまな役割の重要性が認められています。

 ラムサール条約は、湿地の「保全・再生」と「ワイズユース(賢明な利用)」、そして「交流・学習(Communication, Capacity building, Education, Participation and Awareness:CEPA)」の3つを基盤としています(※)。ワイズユースとは、湿地の生態系を維持しつつ人類の利益のために持続的に活用することです。また、CEPAには、交流、能力養成、教育、参加、普及啓発が含まれ、ワイズユースのための手段として大切にされています。

 ラムサール条約に加入する国は、国際基準に即して、少なくとも1ヵ所、自国の湿地を「国際的に重要な湿地に係る登録簿」に登録し、その保全とワイズユースの促進に取り組むことを約束します。日本は1980年にラムサール条約に加入し、北海道の釧路湿原が日本初の「ラムサール条約湿地」として登録されました。その他、滋賀県の琵琶湖や、広島県の宮島、東京都の葛西海浜公園もラムサール条約に登録されています。

参考文献

(※)環境省ウェブサイト「ラムサール条約と条約湿地」
https://www.env.go.jp/nature/ramsar/conv/About_RamarConvention.html

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