営業支援(SFA)とは - 主な機能やCRMとの違い、導入時の注意点について解説

 SFAとは、企業の営業プロセスを最適化することを目的として、営業活動において蓄積された問合せ履歴、商談情報、営業員の日報や成果等を管理するシステムのことです。SFAのメリットを最大限活かすためには、導入の目的を明確にし、現場と経営のニーズをすり合わせることが重要です。

 本記事ではSFAについて、誕生の背景や特徴、CRMとの違いを踏まえた導入時の注意点などについて詳しく説明していきます。

営業支援(SFA)とは

 SFAとは、Sales Force Automationの略語で営業を支援するシステムを指します。SFAには、商談管理機能や行動管理機能など、企業の営業活動を支援したり営業の業務プロセスを自動化するための様々な機能が組み込まれています。
 現在、営業員一人ひとりにスマートフォンやタブレットを支給する会社が増えています。こういったモバイル端末とSFAの組み合わせは非常に相性が良く、効率性の観点で大きなメリットを享受出来ることが多いです。例えば、外出先の営業担当者が隙間時間にスケジュールや日報を入力し、会社にいるマネージャーがその情報をリアルタイムで確認する、といったことが可能となります。

SFAの誕生と機能

 SFAは1990年頃からアメリカでその原型を発展させてきました。日本では2010年代から少しずつ導入が進み、人材難やコロナ禍を背景に安定した成長を続けています。
 「営業を支援する」とひとくちに言っても営業活動はさまざまです。SFAがメインとする営業業務のフェーズは、「営業員が顧客と商談を開始してから受注に至るまで」の一連のプロセスです。営業員の多岐にわたるタスクを自動化し、効率化することで営業活動の最適化を支援します。
SFAの主な機能は以下の通りです。

  • 顧客管理
     自社の顧客を管理します。担当者や社名だけでなく、問い合わせ履歴や過去の取引履歴などを一元管理し、過剰なセールスや営業員の引継ぎミスなどを防止します。

  • 商談管理
     一つ一つの商談を管理します。各案件を切り分け、進捗状況を共有したりどの案件に注力すべきか方針を決めることで、売上の最大化や営業の効率化を支援します。

  • 活動管理
     営業員のタスクを可視化し管理します。例えば、テレアポ/お礼メール/スケジュール調整の機能です。各営業員がやるべきことを明確にし、タスク漏れの防止や客観的な人事評価の指標にします。

  • 日報管理
     多くの会社が日報や週報を社員に義務づけています。SFAを利用することで、一部項目の自動入力による負荷削減や、マネージャー層の営業員の成果把握を手助けします。

  • 売上管理
     各営業員ごと、各チームごと、四半期ごとなどに応じて売上予測を立てたり売上見込みを管理します。SFA上で予実管理を行い可視化することで、目標達成に必要な資源配分を行います。

CRMとの違い

 SFAとよく混同されるのが、CRM(Customer Relationship Management)です。もともとはSFAが営業支援、CRMが顧客管理を担っていました。別々に発展を遂げてきた2つのシステムですが、顧客情報や対応履歴など扱う項目が共通していることから、SFAであってもCRM機能を有する製品、またはその逆でCRMであってもSFA機能を有する製品が一般的になってきています。現在はこれらをまとめてSFA/CRM製品と呼ぶことが多いです。
 CRMについて詳しく知りたい方は、本サイトの記事「顧客管理システム(CRM) - 顧客管理の一元化により顧客との関係をより親密に -」をご覧ください。

導入における課題や注意点

 SFAの導入にあたって大切なことは「なんのためにSFAを導入するのか」を明確にすることです。そのためには、現場のニーズと経営層のニーズのすり合わせが必要になってきます。SFAの導入に失敗する事例として最もよく挙げられるのが、「営業員の利用率が低く運用を継続できない」というケースです。詳細なデータを収集するために、営業員に煩雑な入力作業などの負荷を与えたり、複雑な操作を義務化してしまうと、「営業支援」というSFAのメリットを最大限享受することができなくなってしまう場合があります。
 SFAを導入する際には、事前に関係部門間で十分な調整を行い、何を目的にSFAを導入するのかよく検討しながら進めていくことが求められます。

ベンダ製品の紹介

 国内外でよく利用されているSFA製品には、以下のようなものがあります。

Sales Cloud


 Salesforce社が提供しているSFA/CRM製品です。世界トップシェアを誇り、日本国内のシェアの40%近くを占めています。価格としては高価ですが、非常に豊富な機能と柔軟なカスタマイズ性を有しています。
Sales Cloud 製品概要|SFA (営業支援ツール) | セールスフォース・ジャパン


kintone


 営業日報や顧客管理など、自社の業務に必要なシステムをかんたんに作成できる、サイボウズのクラウドサービスです。日本国内のシェアも高く、低価格でシンプルな作りのSFAを求める企業によく利用されています。
kintone(キントーン)- あなたの「その仕事に」


Zoho CRM

 幅広い分野に対応し、豊富な機能とわかりやすいUIを備えたCRMです。
機能性や操作性においても高い性能を持つCRMを低価格で提供しているため、あらゆる規模・業種から支持されています。
CRMがSFAとしても大活躍。Zoho CRMの営業支援機能

おわりに

 SFAは営業員の業務を効率化・自動化・標準化し、自社の営業戦略を考えるのに非常に効果的なツールです。しかし「なんのために導入するのか」を明確にしてから導入しなければ、ただ営業員にとって面倒な入力が増えるだけ、使わないデータが蓄積されるだけ、お金がかかるだけのシステムになってしまいます。今回ご紹介した製品以外にも世の中には様々なSFA製品が存在し、特徴も強みも様々です。現場と経営のニーズをすり合わせながら最適な営業支援を構築していくことが求められます。

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