顧客管理システム(CRM) - 顧客管理の一元化により顧客との関係をより親密に -

 顧客管理システム(CRM)とは、顧客情報や行動履歴など、顧客との関係性を管理するシステムの総称です。顧客と親密な関係を築くことは企業にとって利益に関わる非常に重要な要素です。CRMは顧客データを管理するシステムとして導入するケースが多くありますが、近年ではCRMのデータを他システムと連携することで、顧客の潜在ニーズの分析を支援する機能など、拡張性の高い製品も登場しています。
 本記事では、CRMの定義や最新動向、導入における注意点などについて解説します。

顧客管理システム(CRM)とは

 CRM(Customer Relationship Management)は、顧客情報や行動履歴、顧客との関係性を管理する製品またはシステムの総称です。顧客に関するさまざまなデータを管理可能で、それらのデータを用いて顧客のニーズや課題を分析する機能を備えている製品もあります。
 インターネットの発達によって、消費者は自分自身で多くの情報を取得することが可能になりました。それに伴い顧客のニーズは多様化し、顧客ロイヤリティを高めることは一段と難しくなっています。企業は顧客情報や行動履歴から顧客を知ることが重要であり、CRMは顧客理解を促進する役割を担うシステムです。

CRMが注目される背景

 CRMが注目されている理由として、製品のコモディティ化により他社と差別化した製品を作り出すことが難しくなっている時代背景があげられます。新製品を開発して新たな顧客を獲得することも重要ですが、既存顧客のロイヤリティを高めることが企業活動においては大切であると言われています。
 マーケティング用語に「1:5の法則」「5:25の法則」という言葉があります。「1:5の法則」は顧客を新規獲得するための販売コストは、既存顧客に対して販売するコストの5倍多くかかるという法則で、「5:25の法則」は、既存顧客の解約率を5%改善すれば、利益が25%改善されるという法則です。これらの法則にもあるように、既存顧客のロイヤリティを高めることがコストをかけず売上を伸ばすための重要な鍵であり、CRMはその実現を強力にサポートするツールであることから、年々需要が高まっています。

CRMの最新動向

 近年は高い拡張性を持つCRMが主流となっており、CRMを中心として顧客に関わるデータを一括管理する企業が増えています。SFA(営業管理システム)との連携をはじめ、コンタクトセンターシステムや契約管理システム等、顧客のさまざまなデータをシステム間で連携することで、管理を効率化すると共に、顧客の潜在ニーズや課題を明らかにすることが可能となるためです。
 CRMを自社開発する企業は多くありますが、最近はSaaS(Software as a Service)のCRMを活用する企業も増えています。すぐに導入できるメリットの他、多くのサービスと連携するためのコネクタがあらかじめ用意されていることが多いことも利点の一つです。

導入における課題や注意点

 前章では顧客データをシステム横断で一元的に管理する重要性について述べましたが、これを実現するには、組織のさまざまな部門が連携し合う必要があります。営業やカスタマーサポート、データ分析部門なども関わる可能性があります。複数部門にまたがる顧客管理を効果的に行うには、導入前に顧客管理プロセスやデータ管理ポリシーを整理することが重要です。
 カスタマーエクスペリエンス向上のためには局所的な施策ではなく、全体最適を志す取り組みが不可欠であり、場合によってはプロセス整理だけでなく、組織体制や業務フローの抜本的見直しを行うことも検討する必要があり、その覚悟を持って取り組んでいくことが重要です。

ベンダ製品の紹介

 CRMの代表的な製品を紹介します。(リンクをクリックすると各社の製品ページが開きます)

おわりに

 顧客の嗜好が見えにくい現代において、顧客とのリレーションを管理し顧客を深く知ることは重要です。CRMを上手く活用することができれば、顧客ロイヤリティを高め、今まで以上に顧客との親密な関係を築くことができます。一方で、SaaSを利用することで簡単に導入できるCRMが増えている分、その機能を最大限に活かすことができないケースも見られます。顧客管理の方針を関係者間で定義し、CRMをどう活用していくかを十分に議論することが重要です。

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