ノーコード開発・ローコード開発

 ノーコード・ローコード開発は、プログラムのコーディングを一切行わずに、もしくは、わずかなコーディングのみで、アプリケーションを開発する手法です。DXを推進する手段として多くの企業がローコード・ノーコード開発ツールの採用を進める一方で、用途・目的に応じて選び方が変わることから、何から始めたらよいのか、どのような製品を選んだらよいのか分からないという企業も多いのではないでしょうか。

 本記事では、ノーコード・ローコード開発プラットフォームの種類や選び方、注意点等について説明します。

用語の概要

 ノーコード・ローコード開発は、プログラムのコーディングを一切行わずに、もしくは、わずかなコーディングのみで、アプリケーションを開発する手法です。DX(デジタルトランスフォーメーション)を急速に推進するための手段として、プログラミング言語の知識が少ない自社社員によるアプリケーション開発(市民開発)を採用する企業が増えています。ノーコード開発プラットフォーム(No-code development platform 以下、NCDP)、ローコード開発プラットフォーム(Low-code development platform 以下、LCDP)は、市民開発を実現する上での有用なツールであり、いずれも画面上でのドラッグ&ドロップ等の操作により、簡単にアプリケーションを開発できるのが特徴です。

“2025年の崖”とDX推進

 経済産業省が発表した『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』(*1)では、既存システムの複雑化・ブラックボックス状態のままDXが進まず放置されることにより、2025年以降、最大年間12兆円の経済損失が生まれる可能性があるとして、これを“2025年の崖”と表現しています。
 IT人材が不足する中、レガシーシステムの保守・運用にIT人材を多く配置せざるを得ない状況において、ノーコード・ローコード開発の導入はDXの推進を加速させると期待されています。一方で、どのような製品を選んだらよいのかわからないといった課題もあげられます。以降で、製品選定のポイントをご紹介します。

ローコード開発プラットフォーム(LCDP)の分類

 LCDPは大きく「業務別LCDP」「開発支援向けLCDP」に大別されます。
 業務別LCDPは、BPM(Business Process Management)やCRM(Customer Relationship Management)など特定領域の業務を発展させてできた開発プラットフォームであり、一般的にLCDPという場合にはこちらを指すことが多いです。
 開発支援向けLCDPは、ETL(Extract/Transform/Load)やEAI(Enterprise Application Integration)等、特定のシステムプロセスに特化した機能を構築するための開発プラットフォームを指し、開発生産性を高める際に有効であり開発者の利用を想定しています。

ノーコード・ローコード開発ツールの選定方法

 ノーコード・ローコード開発には特定領域の業務が発展してできた製品があります。業務の特性と実現したい機能を踏まえ、構築するシステムの特性に最も近いローコード開発ツールを選定することで、効率的な開発を実現できます。
 ここでは実現したい機能に適した製品例をご紹介します。

CRM、SFA(Sales Force Automation) 【顧客管理、営業売上予実管理、日報 等】

Salesforce Platform:
 CRMを起源とするLCDPです。独自言語が必要なものの、開発者の確保が他のローコードツールと比較して容易です。

CRM向けカスタムアプリケーション - Salesforce Platform | セールスフォース・ジャパン

社内アプリケーション【社内情報との連携機能、ポータルサイト 等】

Microsoft Power Apps:
 マイクロソフトが提供しているため、Microsoft365製品(メール含む)との連携が容易です。ブラウザごとにシステム開発する必要がなく自由度が高いことも特徴です。

ビジネス アプリ | Microsoft Power Apps

ノーコード・ローコード開発の適性

 LCDPを利用すると開発生産性の向上や開発者の裾野が広がるなどのメリットがあります。しかし、すべてのシステムをLCDPに移植できるわけではありません。
 競争領域のシステム、サービスレベルを自社でコントロールする必要があるクリティカルなシステムや、変更に多大なコストがかかる柔軟性の低いシステムは、LCDPにはあまり向いていません。一方で、企業向けやBtoBユーザー向けのシステムで、入力・一覧表示を行うようなアプリ・Webシステムの構築には比較的向いています。

おわりに

 ローコード・ノーコード開発は、DXを推進するソリューションとして有用と言われる一方で、スクラッチ開発と比べると実現できる機能に制約があります。製品のメリット(開発生産性の向上など)を享受するには上述のとおり自社の情報システムの特徴やノーコード・ローコード開発ツールの用途・目的を考慮し導入製品を選定する必要があります。
 大和総研では数多くの企業でDXを実現した実績があります。ノーコード・ローコード開発を利用した営業デジタル化、データ利活用などについて、ご不明点やご要望などございましたらお気軽にお問い合わせください。

参考文献

(*1) 経済産業省 2018年9月7日「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」 https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html

関連するウェビナー

ウェビナー|失敗しないSalesforce導入!導入前に絶対やるべきデータモデル作成・業務フロー整理のポイント

ウェビナー|Experience Cloud事例!多対多の情報連携プラットフォーム|大和総研ウェビナー

ウェビナー|Amazon Connect活用!大和総研が提供するAmazon Connect

関連するITソリューション

営業デジタル化・デジタルマーケティング | 大和総研

データ利活用・データ分析基盤構築 | 大和総研

※Salesforce、Salesforce PlatformはSalesforce, Inc.の商標であり、許可のもとで使用しています。
※Microsoft, Power Apps, Microsoft365は、米国 Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。