GHGプロトコル

 GHGプロトコルとは、温室効果ガス(GHG)の排出量を算定・開示する上で参照される国際的な基準です。持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)と世界資源研究所(WRI)によって設立された機関が開発した基準であり、わが国でも多くの企業がGHGプロトコルに沿ったGHG排出量を開示しています。

 GHGプロトコルでは、GHG排出量はScope1、Scope2、Scope3の三つに分けられます。Scope1とは、企業が自ら所有・管理する排出源から直接排出したGHGのことを指します。自社での化石燃料の燃焼、製品を作る過程において直接排出したGHGなどがこれに当たります。Scope2とScope3は企業の事業活動によって生じるGHG排出ではあるものの、企業自身が所有・管理していない排出源から発生した(間接的に排出した)GHGが該当します。Scope2は企業が購入し、使用した電力を発電するために排出されたGHGのことを指します。例えば、企業のオフィスで消費した電力の発電に伴うGHGの排出が該当します。Scope3は、それ以外の間接排出で、サプライチェーンの上流、下流のどの過程で排出されたのかによって、15のカテゴリーに分類されています。例えば、企業の上流における輸送や配送によるGHGの排出はカテゴリー4とされています。

 国際的なサステナビリティ情報の開示基準や、各国・地域の規制におけるGHG排出量の測定・開示も、GHGプロトコルに基づいて行うことが求められることが一般的になっています。情報を開示する企業、開示情報の利用者の双方にとって、GHG排出量を比較可能な形で把握する上で重要な基準です。

レポート・コラム

2023年5月29日
温室効果ガス排出削減の新たな概念、Scope4とは? 2023年05月29日 | 大和総研 | 太田 珠美
2022年6月30日
金融機関のGHG排出量算定で注目されるPCAF 2022年06月30日 | 大和総研 | 藤原 翼 | 田中 大介