シェアリングエコノミー

 シェアリングエコノミーとは、インターネットを介して個人と個人・企業等との間で活用可能な資産(場所・モノ・スキル等)をシェア(売買・貸し借り等)することで生まれる新しい経済活動のことです(※1)。不要になった本や生活用品などを個人間取引のeコマース(電子商取引)を通じて提供者として売ったり、購入者として買ったりする活動が一例です。また一般の人が所有している物件の空き部屋を、「プラットフォーム」を通じて旅行者に貸し出す民泊も代表例です。プラットフォームとは買いたい人と売りたい人を結びつけるサイトやアプリのことです。
 シェアリングエコノミーの区分は、①空き家、駐車場、会議室を提供する「空間のシェア」、②フリマアプリなど不要なモノを提供する「モノのシェア」、③クラウドファンディングなどの「お金のシェア」、④知識やノウハウを教える「スキルのシェア」、⑤相乗りやカーシェアなどの「移動のシェア」の5つのサービスに大別できます。
 シェアリングエコノミーの市場規模は拡大傾向にあります。市場調査(※2)によると、2022年度には2兆6,158億円の市場規模になりました。その10年後の2032年度は最大で15兆1,165億円に達すると予測されています。成長の背景にはインターネットの普及とIT技術(テクノロジー)の進歩、人々の価値観が「所有」から「共有」へ変化、利用者の節約志向等が考えられます。
 提供者・利用者・社会の3つの視点で特徴を見ると、提供者の視点では、未使用の資産を活用することで収入を得るメリットがある一方、資産損傷・盗難リスク・法的問題等のデメリットがあげられます。利用者の視点では、資産・サービスを必要な時にだけ手軽に利用できる点・コスト軽減が見込める等のメリットがある一方、品質の問題・安全性保証の問題・トラブル発生時の責任可能性等のデメリットがあげられます。社会の視点では、資産・サービスを他者との共有により効率的に経済的価値を生むメリットがあり、モノのシェアの場合、過剰生産・大量廃棄が減り、結果的にCO2排出量の削減につながります。一方、デメリットとしては、さらなる発展に向けて法制度の整備、課税の問題、事故発生時の責任所在の曖昧さ、個人間取引における双方信頼性の構築、等の課題があげられます。
 これらの課題を解決することや「インターネットとモバイル技術の進化」によりシェアリングエコノミーの規模は成長拡大が期待されています。

参考文献

(※1)消費者庁「あんぜん・あんしんシェアリングエコノミー利用ガイドブック」(2021年10月) https://www.caa.go.jp/notice/assets/future_caa_cms201_211001_02.pdf

(※2)株式会社 情報通信総合研究所「シェアリングエコノミー関連調査2022年度調査結果(市場規模)」(2023年1月)

レポート・コラム

2023年11月8日
なぜシェアリングエコノミー(スペース)は地方経済活性化にとって「三方よし」なのか 2023年11月08日 | 大和総研 | 芦田 栄一郎