CSDDDとは、Corporate Sustainability Due Diligence Directiveの頭文字をとったもので、日本語では「企業サステナビリティ・デューディリジェンス指令」と訳されます。CS3Dと略されることもあります。
CSDDDは、欧州連合(EU)の「指令(Directive)」です。EU法における指令は、EU加盟国が達成しなければならない目標を定めるもので、法的拘束力を持ちます。EU加盟国には指令の目標と整合的な国内法整備が求められます。CSDDDの目標は、多国籍企業に対してグローバルバリューチェーンにおける持続可能で責任ある企業行動を促進することです。
CSDDDがEU加盟国に求めるのは、企業活動が人権や環境に与える負の影響に対処するための、リスク・ベースの人権・環境デューディリジェンス(DD)を義務づける法整備です。CSDDDが定める人権・環境DDの内容は多岐にわたり、方針の策定、負の影響の特定・評価・対処、ステークホルダーエンゲージメント、苦情処理、モニタリングと情報開示などが含まれます。
対象となるのは、EU加盟国企業の場合、従業員数1,000人超かつ全世界における売上高が4.5億ユーロ超の企業です。日本企業を含む第三国企業の場合、EU域内における売上高が4.5億ユーロ超の企業が対象となります。従業員数に関する基準はありません。適用が開始される時期は従業員数・売上高によって異なりますが、早ければ2027年から適用されるため、対象となり得る企業はそれまでに対応できるよう、準備が必要です。
CSDDDの直接の対象はEU加盟国ですが、その目標や内容は企業活動に大きく関わるものであり、第三国企業にも影響を及ぼします。そのため、EU域内で企業活動を行う日本企業には、その動向を注視することが求められます。
レポート・コラム
2024年08月15日
EUの企業サステナビリティ・デュー・ディリジェンス指令(CSDDD)の内容と今後の展開 2024年08月15日 | 大和総研 | 中 澪
2024年02月14日
「ビジネスと人権」をめぐる日本企業の対応 2024年02月14日 | 大和総研 | 中 澪