コアコンピタンス

 コアコンピタンスとは、企業の競争力、創造力の源泉として中核となる能力のことです。提唱した経営学者のC.K.プラハラード氏とゲイリー・ハメル氏はコアコンピタンスの条件として、次の3つをあげています。

・ 多様な市場へのアクセスが可能であり、多角化した事業にも共通に利用できる
・ 最終製品が消費者利益に貢献する
・ 競争相手が模倣しにくい

 以上は、企業内部に培った能力を競争のための資源として活用していくという考え方であり、リソース・ベースド・ビュー(経営資源に基づく企業戦略理論)と言われています。

 企業が持つ経営資源がコアコンピタンスであるかを判断する際に、以下の5つのポイントで見極めを行います(図1)。

  1. 模倣可能性(Imitability)
     他社が模倣できる能力であるかを検討します。模倣に多大な金銭的コスト、時間的コストがかかる場合は、模倣可能性が低いと評価できます。

  2. 移転可能性(Transferability)
     新製品や新サービスを開発する際に、展開が可能な能力であるかを検討します。様々な製品やサービスに活用できる能力であれば、それによってビジネスチャンスが広がり、競争優位を獲得できる可能性が高まります。

  3. 代替可能性(Substitutability)
     他社の製品やサービスでは代替できない能力であるかを検討します。代替が困難な能力を持つ場合、市場においても優位なポジションに立つことができるでしょう。

  4. 希少性(Scarcity)
     まだ市場にない、もしくは発掘されていない能力であるかを検討します。模倣可能性と代替可能性を満たす場合、希少性も満たすと評価できます。

  5. 耐久性(Durability)
     市場において、長期的に競争優位性を確保できる能力であるかを検討します。事業を取り巻く環境の変化や企業内の方針転換によって、能力の価値が失われる可能性があるため、変化に合わせて能力を進化させることが求められます。


図1. コアコンピタンスを見極める5つのポイント
出所:大和総研作成


 自社の強みを洗い出し、それぞれの強みが上記の5つのポイントを満たすこと、そして将来性を加味しながら絞り込みを行うことで、最終的なコアコンピタンスを特定していきます。また、SWOT分析VRIO分析も、企業の強みを特定し、それが持続的な競争優位性をもたらすかどうかを検討するフレームワークとして有用です。