OCI認定資格取得のメリットと学習法

 こんにちは、大和総研システムインフラ第一部の天野です。

 大和総研は、2023年度Oracle Certification Award(Oracle社紹介ページ)において、「Oracle Cloud Infrastructure (OCI / PaaS) 認定資格」の取得者を多数輩出する企業として表彰されました。大和総研では、CCoE(Cloud Center of Excellence)が中心となり、Oracle Cloud Infrastructure(以下、OCI)をはじめとしたパブリッククラウドの活用推進やパブリッククラウド人材の育成に積極的に取り組んでいます。

 私は現在、オンプレミスで運用されていたシステムをOCIに移行するプロジェクトを担当しています。OCIの認定資格取得を通じて、新しい業務への挑戦など様々なチャンスを得ることができました。この記事では、私がOCI認定資格取得を目指した動機と資格取得に向けた学習方法についてお伝えしたいと思います。

OCI認定資格の取得を目指した動機

 大和総研では、業務の継続性と安定性が求められるミッションクリティカルなシステムを数多く運用しています。また、これらのシステムではデータベースにOracle Databaseを採用していることが多いです。これらOracle Databaseを採用しているシステムのパブリッククラウドへの移行を検討する場合、OCIが移行先となるケースが増えることが予想されます。私は、パブリッククラウドへの移行プロジェクトに携わりたいという思いから、認定資格の取得を通して、OCIのインフラ構成の基本的な考え方やOCIが提供するサービス全般の知識を習得しようと考えました。

試験対策

まずは期限設定

 認定資格取得の重要なポイントは、期限設定だと思います。認定資格を受験すると決めたら、まず受験申込をして試験日を決めてしまうことを心がけました。

書籍やオンライン学習教材の利用

 OCIの入門書『Oracle Cloud Infrastructure徹底入門 Oracle Cloudの基本からインフラ設計・構築まで』(塩原浩太他、翔泳社、2021年)を使ってOCIの概要を理解しました。その後、OCIが公式に提供している無償学習プログラムUdemyのオンラインコースを利用しました。

重要なポイントに注力して学習

 問題集を繰り返し解くうちに、同じようなシステム構成やサービス仕様について問う問題が多いことに気づきました。認定資格は基準以上の知識やスキルがあることを示すためのもので、不合格にするための試験ではないはずです。類似した設問が多いトピックに関しては、試験範囲の中で重要なポイントになることが多いので特に注力して取り組みました。

学習のコツ

持っている知識と比較して整理する

 学習のコツとして、既に持っている知識と比較して整理するようにしました。私は、Amazon Web Services(以下、AWS)と比較をしながらOCIの特徴を整理して学びました。たとえば、

  • OCIではComputeというIaaS型の仮想コンピューティングのサービスがあり、AWSのEC2に対応するサービスである。

  • ComputeがCPU、メモリをフレキシブルに変更できるのに対し、EC2はCPU、メモリのサイズを選択しやすいようにパッケージになっている点が違う。

  • OCIでは可用性向上のため、アベイラビリティドメイン(AD)というデータセンター群のような考え方があり、AWSでは同じような仕組みとしてアベイラビリティゾーン(AZ)がある。

といった感じです。OCIにはたくさんのサービスがあるため、すべてを知ることは難しいですが、今持っている知識と比較して整理することで、知識の定着もスムーズに進めることができたと思います。

自分なりの学習ペースで進める

 学習を継続させるコツは、自分なりの学習ペースを見つけることだと思います。私は、空き時間を使ってコツコツ学習するのが苦手なので、まとまった時間にゆっくり取り組むことにしました。メリハリを大事にすることで、楽な気持ちで学習を継続できたと思います。加えて、私の場合は、締め切り効果が有効でした。学習を継続できるように試験日を最初に決めてしまうよう工夫しました。

勉強会やセミナーに参加してモチベーションを維持する

 自分ひとりで学習を継続するためには、モチベーションを高く維持することも大切です。私は、モチベーション維持のために勉強会やセミナーに参加するようにしています。そこでは、新しい気づきや学びを得るだけではなく、気分転換やモチベーションの向上にもつながると感じています。オンラインで手軽に参加できるセミナーも良いですが、誰かと会話したり、その場の雰囲気を感じられるオフライン参加がおすすめです。

 大和総研ではCCoEが中心となり、エンジニア向けのハンズオンや社内勉強会、資格取得キャンペーンなどパブリッククラウドを推し進めるためにさまざまな取り組みを行っています。パブリッククラウドのスキル向上に前向きなメンバーが多く参加しており、社内でこんなことをやっている方がいるのか、と刺激を受けています。

 社外ではOCIのユーザグループであるOCIjpのようなコミュニティや各種イベントに参加しています。OCIを使って新しい取り組みにチャレンジしている方々とお話する機会を得ることができ、毎回、知見を広げることができるのでおすすめです。  

おわりに

 私は、OCI認定資格取得を通して

  • 新しいサービスを構築するプロジェクトにチャレンジできるきかっけになった
  • 社内や社外のコミュニティに参加するきっかけになった
  • INPUTだけではなく、OUTPUTの大切さを改めて実感した

など、ポジティブなきっかけを作ることができました。

 OCI認定資格取得の学習に取り組みはじめてから少しして、Oracle Databaseを利用しているシステムの更改プロジェクトにアサインされるチャンスが訪れました。同プロジェクトのインフラ構成を検討するフェーズでは、資格取得を通して学んだ知識が役立ちました。具体的には、OCIのコストやOracle Database関連サービスの利便性についての知識が、製品選定やシステム構成を検討するうえで大きな助けとなりました。インフラ構成の検討フェーズを経て、同プロジェクトでは、OCIを利用することになり、私はこのプロジェクトのメンバーとして設計、構築を担当することになりました。

 構築に必要なスキルや汎用的な知識を得るためにOCI認定資格の学習を継続し、2023年11月現在、有効なOCI認定資格を13種保持することができました。認定資格の学習は、体系的にOCIのサービスを学ぶために有効な方法のひとつだと思います。

図1:保持している13資格のOCI認定バッジ一覧

  また、社内のコミュニティに参加する機会が増えるにつれ、私自身も社内のメンバーに情報を共有する機会が増えてきました。持っている知識を伝える側に回ることで、理解をさらに深めることができます。改めてOUTPUTの大切さを実感しています。

 最後に忘れてはいけないことは、認定資格試験の合格が目的なのではなく、得た知識やスキルを価値提供のためのツールとして使えるようになることが目的であるということです。認定資格取得で得た知識を通じて、大和総研のサービスを利用いただいているお客様に対してより価値の高いサービス提供ができるように、これからも学習を継続していきたいと考えています。

 この記事を読んでいただけた方と、どこかのコミュニティで、OCIについて熱くお話できることを楽しみにしています。

写真1. OCI 13資格を取得した システムインフラ第一部 天野ITインフラ・アーキテクト(大和総研撮影)

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