スチュワードシップ・コードとは、機関投資家のあるべき姿を定めた規範であり、イギリスで2010年に策定されました。日本でも「『責任ある機関投資家』の諸原則 ≪日本版スチュワードシップ・コード≫ ~投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために~」(以下、日本版SSコード)が2014年に策定されました。日本版SSコードは、機関投資家がエンゲージメントなどを通じて、投資先企業の企業価値の向上や持続的成長を促すことで、顧客・受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図る責任を果たす上で有用と考えられる諸原則を定めています。
日本版SSコードは、「プリンシプルベース・アプローチ」(原則主義)を採用しています。機関投資家が取るべき行動を詳細に規定しているのではなく、おのおのの置かれた状況に応じて行動できるようになっています。また、日本版SSコードは法的拘束力を有する規範ではなく、これに賛同する機関投資家が「受入れ表明」をします。日本版SSコードは「コンプライ・オア・エクスプレイン」を採用しており、受け入れる機関投資家には全ての原則を実施することが求められているわけではなく、自らの個別事情に照らして実施することが適切でないと考える原則があれば、それを「実施しない理由」を十分に説明することとされています。
日本版SSコードは策定された2014年以降も適宜改訂されています。例えば2020年には、機関投資家がエンゲージメントを行う上で、運用戦略に応じたサステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)を考慮することについて、改訂が行われました。