パリ協定

 パリ協定とは、2020年以降の気候変動に関する国際枠組みです。2015年にフランスのパリで開催された国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で採択されました(発効は2016年)。世界共通の長期目標として、産業革命前と比べて世界の平均気温上昇を2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求することが定められました。またこの目標を達成するために、世界の温室効果ガス(GHG)排出量をできる限り早くピークアウトさせること、今世紀後半に、人為的なGHG排出量と、吸収源による除去の均衡を達成すること(ネットゼロ)が求められています。

 パリ協定では、190を超えるすべての締約国に対し「国が決定する貢献(NDC=Nationally Determined Contribution)」を国連に提出することを求めています。NDCは各国のGHG排出削減目標と行動計画をまとめたもので、5年ごとに更新し、提出する義務があります。日本は2020年3月の地球温暖化対策推進本部で「我が国は、2030年度に2013年度比▲26%(2005年度比▲25.4%)の水準にする削減目標を確実に達成することを目指す。また、我が国は、この水準にとどまることなく、中期・長期の両面で温室効果ガスの更なる削減努力を追求していく。」とする「日本のNDC(国が決定する貢献)」を決定し、国連に提出しました。その翌年の2021年には地球温暖化対策推進本部の決定を踏まえ、米国主催の気候サミットにおいて、2050年カーボンニュートラルと整合的で野心的な目標として、2030年度のGHG排出削減目標について2013年度比で46%削減を目指すこと、さらに50%の高みに向け挑戦を続けることを表明しました。同年、この新たな削減目標を反映したNDCを決定し、国連へ提出しています。

レポート・コラム

2023年05月29日
温室効果ガス排出削減の新たな概念、Scope4とは? 2023年05月29日 | 大和総研 | 太田 珠美