フェムテック

 フェムテック(femtech)とは、「female(女性)」と「technology(技術)」から成る造語です。この用語は、デンマーク出身の起業家であるイダ・ティン氏によって作り出されたとされ、2010年代以降に広まった、比較的新しい言葉です。フェムテックは、月経や妊娠・不妊、更年期など、女性の健康課題を解決する電子機器やソフトウェア、その他の技術を指します。例えば、月経周期を把握するためのアプリケーションなどがあります。

 フェムテックをめぐっては、2023年6月に政府決定された「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2023(女性版骨太の方針2023)」でも取り上げられ、日本でも政策として推進するための議論が始まっています。フェムテックの利活用は、「女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現」に向けた産業保健体制の充実や生理休暇制度の普及などと並び、生涯にわたる女性の健康への支援の一環と位置づけられています。

 フェムテックの動向は、企業の人的資本経営や健康経営®のあり方とも関わります。日本企業の間でも、オンラインによる婦人科の受診や相談窓口の設置など、福利厚生にフェムテックを導入する事例が見られるようになってきました。フェムテックの推進によって関連する製品やサービスが普及するにつれて、フェムテックを利活用した企業の取組みも広がることが予想されます。

 「女性の健康課題」と一言でいっても、症状の有無やその程度には大きな個人差があります。フェムテック関連の製品やサービスの開発や普及は、性と生殖に関する健康についての正しい知識や対処方法を知ることで、一人ひとりの女性が自由に選択し、自己決定を行う上で重要な役割を果たすと考えられます。

※健康経営®は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

レポート・コラム

2022年12月01日
ジェンダー・ギャップ指数を読み解く 2022年12月01日 | 大和総研 | 中 澪