分散型物理インフラネットワーク(DePIN)

 DePINとは、Decentralized Physical Infrastructure Networkの略で、日本語では「分散型物理インフラネットワーク」と呼ばれます。ブロックチェーンとトークンを活用して物理的なインフラのネットワークを分散型のアプローチで構築しようというプロジェクトの総称のことです。DePINはトークンを活用したシェアリングエコノミーのように捉えることができます。DePINのプロジェクトは、従来中央集権的な主体が提供していたインフラサービスを、トークンによるインセンティブを駆使して分散型のアプローチで提供することを目指しています。

表. DePINプロジェクトの例
プロジェクト名
トークン
概要
Hivemapper HONEY 分散型地図サービス。
専用の車載カメラを設置して道路状況などの地図データを撮影しシェアすることで地図データ提供者はHONEYトークンを報酬として入手できる。また、地図データ利用者はHONEYトークンを使用して地図データを購入することができる。
Filecoin FIL 分散型ストレージサービス。
ストレージを提供することでストレージ提供者はFILトークンを報酬として入手できる。また、ストレージ利用者はFILトークンを支払うことでそのストレージを利用できる。

出所:大和総研作成

 DePINに相当する概念自体は以前から存在しましたが、統一された用語は存在しませんでした。2022年に暗号資産リサーチ企業のMessari社がX(Twitter)で公募を行い、DePINという言葉が誕生しました。
https://twitter.com/MessariCrypto/status/1588938954807869440

 DePINは大きく2つに分類されます。

  • Physical Resource Network(PRN): エネルギー、通信、地理データなどの現実世界の特定の場所に関連したリソースを提供するDePIN

  • Digital Resource Network(DRN): コンピューティングリソース(CPU・GPU)やストレージ、通信帯域などのデジタルなリソースを提供するDePIN

 DePINは、トークンのインセンティブにより資金と世界中のリソースを流動化させ、イノベーションを促進することができる仕組みとして注目を集めています。