サーキュラーエコノミー

サーキュラーエコノミーとは

 サーキュラーエコノミーとは「円形の」「循環する」という意味を持つ“circular”と“economy”(経済)を組み合わせたもので、日本語では循環経済といいます。世界的な人口の増加や、新興国も含む急速な世界経済の成長などから、資源の枯渇や大量の廃棄物、地球温暖化など環境問題が深刻化しています。そのため、大量生産・大量消費・大量廃棄しながら経済成長していくこれまでの社会経済システムの限界が指摘されています。これまでの社会経済システムは調達、生産、消費、廃棄といった流れが一方向であることから、リニアエコノミー(「直線の」「線形の」という意味を持つ“linear”と“economy”を組み合わせたもの)と言われます。

サーキュラーエコノミーへの移行

 サーキュラーエコノミーは調達、生産、消費、廃棄のあり方を見直し、様々な資源の使用量を抑え、廃棄物を減らす持続可能な社会経済システムと位置付けられています。リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへの移行は、近年気候変動と同じように重要な課題として国際社会に認識されています。サーキュラーエコノミーへの移行の目的は環境課題への対応ですが、欧州を中心に、これを自国の経済成長や産業競争力の強化につなげようとする動きも活発です。日本も2020年に新たに「循環経済ビジョン2020」を策定、これを踏まえた「成長志向型の資源自立経済戦略」を2023年に公表しています。

3Rから4Rへ

 日本では1999年に「循環経済ビジョン」が策定され、3Rといわれる、①Reduce(経済活動を行うにあたり必要となる様々な資源の使用量を抑え、廃棄物を最小限にすること)、②Reuse(資源を可能な限り再利用すること)、③Recycle(廃棄物等を原材料やエネルギー源として有効利用すること)が提言されました。近年ではこれにRenewableを加えた4R政策が進められています。Renewableは再生可能な資源に代替することを意味し、例えばプラスチック製の容器包装や製品の原材料を紙やバイオマスプラスチックにすることなどが挙げられます。

課題

 サーキュラーエコノミーの実現に向けた課題の1つとして、調達、生産、消費、廃棄の各段階の情報をサプライチェーン全体で共有する仕組み(トレーサビリティを確保する仕組み)がないことが挙げられます。そのため、情報流通プラットフォームを構築していく必要性が指摘されています。トレーサビリティを実現する技術として、ブロックチェーンや非代替性トークン(NFT)の活用が期待されています。

レポート・コラム

2022年01月13日
サーキュラーエコノミーに向けた取り組み 2022年01月13日 | 大和総研 | 山本 一輝