Oracle Database Developer Tech Daysに参加しました

 こんにちは、大和総研 システムインフラ設計部の天野です。

 大和総研ではクラウドを通じてお客様に価値を提供すべく、2021年度よりパブリッククラウドの推進組織(CCoE: Cloud Center of Excellence)を設置し、クラウド活用を推進しています。

 私は現在、Oracle Cloud Infrastructure(以下、OCI)をはじめとした、パブリッククラウドを用いたシステム構築プロジェクトに参画しています。

 パブリッククラウドでは次々と新しいサービスや機能が提供/変更/廃止されます。これらのアップデート情報のキャッチアップに課題を感じているエンジニアがたくさんいると思います。

 この度、OCIの新機能情報をキャッチアップするため、日本オラクル社(以下、オラクル社)が開催したイベント「Oracle Database Developer Tech Days for 大和総研」に参加しました。本記事では、イベントの中で今後の業務に活かせそうだと感じた技術・セッションを紹介していきたいと思います。

Oracle Database Developer Tech Daysとは

 「Oracle Database Developer Tech Days」は、2023年9月にリリースされた最新版のOracle Database 23cがOCIで提供開始されたことを受け、新機能を紹介するイベントとして開催された公開イベントです。開発者がデータベース上で迅速にアプリケーションを作成するための機能を具体例やデモを通じて学べます。

 今回、この「Oracle Database Developer Tech Days」をベースに当社向けの内容にアレンジしてイベントを開催していただきました。オラクル社はOracle Databaseを利用している企業向けに、個社別にカスタマイズしたイベントを開催しています。興味がある方は、オラクル社の担当営業に相談してみてください。

 下記の8つの重点分野から当社の要望や関心に応じた講義セッションを開催いただきました。

 ① データウェアハウス/レイクハウス
 ② OLTP(オンライントランザクション処理)
 ③ ローコード
 ④ JSON
 ⑤ マイクロサービス
 ⑥ データメッシュ
 ⑦ グラフ
 ⑧ 開発者DB

 当社向けイベントは、1日7セッション(4時間)×2日間で行われました。短い時間で多くの最新情報を得られます。また、開催形式はハイブリッド形式で、オンラインあるいはオンサイト(オラクル社のセミナールームでの受講)を選択可能です。私はオンラインで受講しましたが、オンサイトであれば講師の方に直接質問でき、より多くの学びを得られます。

 次章では、受講したセッションの中で、今後の業務に活かせそうと感じたものを3つ紹介します。

セッション紹介

① データウェアハウス/レイクハウス : 簡素化されたデータレイク分析

 データレイク(https://www.dir.co.jp/world/entry/solution/datalake)とは、売上データ、顧客データなどの構造化データや、SNS、電子メール、センサーデータなどの非構造化データなど、さまざまな形式や構造の大量のデータを保存できる情報の格納庫です。ビジネスやイノベーションを目的としたデータの利活用に用いられます。

 データレイクがあることで大規模データの分析や処理を実現でき、企業にとって重要なリソースになりえます。一方で、データを一カ所に集約することが必要となり、大量データを保持、処理するためのコストが課題になっています。

 OCIでは、Autonomous Data Warehouse(以下、ADW)を中心としたサービスを利用することによって、利用者がメリットを享受できることを学びました。

 ADWとは、Oracle DatabaseとOracle Exadataをベースに構築された、分析ワークロードのために最適化・完全自動化されたクラウド・データベース・サービスです。

 詳細は、Oracle公式ページ(https://www.oracle.com/jp/autonomous-database/autonomous-data-warehouse/)もご参照ください。

 本セッションにおいて印象に残った点を挙げます。

OCIのクラウドデータレイク

 ADWは、OCIで提供されるデータ変換/クレンジング、データ分析、データサイエンス/ML、グラフ分析などといったデータレイクに必要なデータ処理サービスとの相互連携がサポートされています。また、ADWは従来の利用料に比べてストレージコストを75%以上削減しており、データをオブジェクトストレージに保存するよりも5~20%高速なクエリパフォーマンスを実現できます。ADWはすぐに利用でき、コストメリットがあるデータレイクと言えそうです。
      

マルチクラウド

 ADWは、OCIだけではなく、AWS、AzureおよびGCP等のオブジェクト・ストア(オブジェクトのクエリを実行するプラットフォーム)からのデータの問い合わせまたはロードを実行できます。 さまざまなデータ形式(Parquet、ORC、CSV、JSONなど)をサポートしており、幅広いプライマリデータに対応しています。また、AWS Glueと統合してマルチクラウドでのメタデータ分析も可能です。ADWを用いることで、データの保管場所を越えた幅広いアクセシビリティを実現できます。 

セキュリティー

 外部オブジェクトに対するOracle標準のアクセス制御やビューによる列レベルのセキュリティーだけでなく、Oracle Data Safe(https://blogs.oracle.com/sec/post/data-safe-overview)のデータマスキング機能やデータベースアクションサービスを使用してデータ履歴の可視化も行えます。Oracle Databaseを使用することで、セキュリティを一元管理できるため、運用負荷も軽減できそうです。

 詳細は Oracle公式ページ(https://www.oracle.com/jp/big-data/data-lake/)もご参照ください。

② OLTP : 次世代向けグローバル・スケール・アプリケーションの構築

 グローバル規模で展開される検索サイト、SNS、および決済システムなどでは、非常に高機能な要件を求められます。

  • ペタバイト級のデータを扱えること
  • ミリ秒単位の応答時間で毎秒数百万件のトランザクションをサポートできること
  • 高可用性であること
  • 包括的なセキュリティーを提供していること

 Oracle Databaseの一つである、Oracle Globally Distributed Database(以下、GDD)を利用すれば、上記要件を満たす構成を設計することが可能です。

 GDDとは、ハイパースケールのグローバル分散データベースです。GDDは、複数のサーバーで単一の論理的なデータベースを構成し、データをシャードと呼ばれる単位で保持しています。

 このシャードは、各種ハードウェア/ソフトウェアを共有しないシェアード・ナッシング・アーキテクチャと呼ばれる構成となっており、シャード単位で水平スケーリングが可能です。これにより、利用者に高い拡張性と可用性を提供できます。

 また、アプリケーションはシャードに直接接続でき、シャードの配置設計によりデータの配置場所を制御できるため、 データ配置制約を遵守し、データ主権に貢献できます。

図1.シャーディングのイメージ(大和総研作成)

 詳細は、Oracle公式ページ(https://www.oracle.com/jp/database/distributed-database/)もご参照ください。

③ ローコード : アプリケーション開発における位置付け

 データ駆動型アプリケーションを迅速に構築するため、Oracle APEX(以下、APEX)という開発フレームワークが提供されています。APEXは、Oracle Databaseを基にしたウェブアプリケーション開発フレームワークであり、データベースにアクセスするためのウェブベースのアプリケーションを簡単に作成できます。  

 本セッションでは、APEXの価値を以下のように説明していました。

  • APEXは、世界で最も人気のあるエンタープライズ・ローコード・アプリケーション・プラットフォームであり、InfoWorld’s 2023 Technology of the Year Award winnersに選出されている。
    https://blogs.oracle.com/apex/post/oracle-apex-wins-infoworld-technology-of-the-year-2023-award
  • 世界クラスの機能を持った、スケーラブルでセキュアなエンタープライズ・アプリケーションを、一般的なJavaScriptプラットフォームを使用した従来のハンド・コーディングに比べて、20倍高速かつ100分の1のコード量で構築可能である。
  • APEXは、クラウドとオンプレミスを含むあらゆる環境に、モバイル、Web、デスクトップ・アプリケーションを開発およびデプロイするための最も生産的な方法を提供できる。

 デモンストレーションでは、映画情報が格納されているデータベースについて、APEXを使って検索や分析機能を持つアプリケーションの構築が行われました。データベースへの接続が容易で、かつ見栄えの良いアプリケーションの構築が短時間で行えると感じました。

 詳細は、Oracle公式ページ(https://apex.oracle.com/ja/)もご参照ください。

おわりに

 今回の記事ではイベントの中で紹介された機能をいくつかに絞って共有しました。Oracle Databaseはあらゆるデータ形式やワークロードに対応しており、Oracle Databaseの機能を駆使すればアプリケーションを迅速に構築できると感じました。

 例えば、「①データウェアハウス/レイクハウス」で紹介したADWは、複数のデータソースをまとめて処理できるだけでなく、システム構成をシンプルにでき、さまざまなデータ形式もサポートします。多機能でありながら素早くデプロイを行うことが可能です。

 「② OLTP:次世代向けグローバル・スケール・アプリケーションの構築」で紹介したGDDは、顧客のユースケースによってさまざまなデータ形式やワークロードに対応しており、大量のトランザクションを処理することが可能です。

 「③ ローコード:アプリケーション開発における位置付け」で紹介したAPEXは、一般的なJavaScriptプラットフォームを使用した従来のハンド・コーディングに比べて、20倍高速かつ100分の1のコード量でアプリケーションを開発できます。

 開発を行うためのさまざまなテクニックを学び、最新機能を駆使して開発を支援したいという講師の方々の熱い思いを感じた2日間でした。

大和総研では、金融機関や事業会社のお客様へクラウドを導入・運用してきた実績を活かし、お客様のクラウドインフラの構築・移行などをサポートします。ご要望・ご不明点などがありましたら、ITソリューションサービスサイトよりお問い合わせください。

写真1.Oracle Database Developer Tech Days開催の様子(大和総研撮影)

「Oracle Database Developer Tech Days for 大和総研」開催概要

  • イベント名称:Oracle Database Developer Tech Days for 大和総研
  • 主催:日本オラクル株式会社
  • 開催方法:ハイブリッド形式(日本オラクル株式会社オフィス/オンライン)
  • イベント概要: 「Oracle Database Developer Tech Days」をベースに当社向けにアレンジされた、Oracle Database の最新機能を学べるイベントです。

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