DX人材とは、DXを進めるために必要なスキルやマインドを持ち、ビジネスの変革をリード・実行できる人材のことです。
DX人材に求められる能力 「IT人材育成」との違い
DX人材育成の難しさは、そもそもの“DX化”と“IT化・システム化”との目的の違いから語られることが多くあります。
これまでのシステムエンジニアが得意とする“IT化・システム化”は、主に既存業務の自動化・効率化を目的としています。特に日本では、明確なビジネス要件の下、ウォーターフォール開発によりプロジェクトは進められることが多くありました。
一方、“DX化”は柔軟に改変できる新しいビジネスモデルや組織構造、サービスの実現を目的としています。課題抽出とソリューション実行を高頻度で繰り返しながら、スピード感を持って企業の経営課題を解決していくことが強く求められます。
つまり、“DX化”と“IT化・システム化”では、視座や仕事の進め方が異なるのです。DX人材には、単にデジタル技術・先端技術に強い人材というだけでなく、経営課題を解決し企業が付加価値を創出していくために、企業全体を見渡す視点を持ち、社内外の人材を巻き込みながらプロジェクトを遂行していくことができるマインドやスキルが求められます。
具体的には、以下のような能力です。
DX人材に求められる能力の例
具体的な戦略を立てたり、問題解決に必要なマネジメントをしたりできるスキル
構想力、企画立案力、アジャイル、仮説設定・課題解決、デザイン思考 など
主体性や好奇心を持ち、周囲も積極的に巻き込めるマインド
周囲を巻き込むリーダーシップ、好奇心旺盛・主体性、モチベーションコントロール など
先端ビジネスや先端技術、データサイエンスに関する深い知識
ITリテラシー、先端ビジネス、先端技術、データサイエンス など
DX人材の育成を促進する施策
これまで人事部や現場部門が中心となり企画・提供してきた社内研修は、主に技術面に焦点を当て、多くの社員を対象に効率的・効果的に社員を教育できるという大きな利点がありました。しかし現在、ビジネス環境は急速に進化しており、その技術やビジネスの変化に対して、スピーディーに、かつ画一的に教育コンテンツを提供することが難しくなっています。
そこで、「社員自身が能動的に新たな知識・スキルを獲得し、実務を通じて企業に還元する」というサイクルが回るように、社員に自律学習の機会・場を提供する企業が増えています。
例えば以下の施策があります。
- 新しい知識・スキルを習得する機会・場(eラーニング、外部研修、セミナー聴講 等)
- 新しい知識・スキルを応用する機会・場(社内での模擬プロジェクトの機会 等)
- 有識者によるサポート、参考文献の蓄積・公開(有識者コミュニティ、ナレッジポータル 等)
- 業務の中で実践する機会(実務で発生したプロジェクトへのアサイン 等)
- 同じ境遇にある社内外の社員とのコミュニケーションの機会
- インセンティブの付与(社内ポイント等)
DX人材に必要な能力を理解し、有機的な学習・実践の環境を整備していくことが、競争優位の源泉となるDX人材の育成を進めていくうえで重要な要素となります。