ReFi(リファイ)とはRegenerative Finance(再生金融)の略であり、ブロックチェーン技術を使って経済的インセンティブを実現しながら環境や社会の問題を解決しようとする新たな金融システムです。
この概念は、2015年に経済学者のジョン・フラートン氏(John Fullerton)が提唱した「Regenerative Capitalism(再生資本主義)(※1)」を基にしています。「再生資本主義」は、経済活動が環境や社会に与える負の影響を最小限に抑えながら、持続可能な資源利用や新たな価値創造を通じて、自然環境や社会の健康を回復・再生することを目的としています。例えば、再生可能エネルギーを活用したプロジェクトや、公平な労働条件を提供する企業への投資などがあげられます。気候変動や貧困といった問題に対して、経済活動を単なる原因とするのではなく、むしろ解決の手段とするために経済システムを再構築することを目指しています。ReFiはこの考え方を応用し、特にブロックチェーン技術を活用することで他の取り組みとの差別化を図っています。ブロックチェーンによる透明性、信頼性、効率性がReFiの基盤を支えています。
ReFiの取り組みの中で活発なものの一つが、カーボンクレジット(Carbon Credit)のトークン化です。カーボンクレジットとは、主に企業間で温室効果ガスの排出削減量を売買する仕組みのことです。植林などで緑を増やしたり省エネ機器を導入したりすると、吸収・削減した温室効果ガスの量をクレジット(排出権)として発行し、それを他の企業に売却できます。他の企業がクレジットを購入すると自社の温室効果ガス排出量を購入したクレジットの分だけ相殺できます。これをカーボンオフセットといいます。
カーボンクレジットは、温室効果ガスの実際の削減を保証するために認証機関による認証制度が設けられています。しかし、国や地域によって認証の基準が異なり、発行から取引までの手続きが煩雑であるという課題があります。これらの課題に対して、ブロックチェーン技術を適用しクレジットをトークン化することで、企業だけでなく個人も巻き込み、透明性の高いグローバルなカーボンクレジットシステムを構築することが期待されています。これにより、クレジットの発行や取引がより効率的に行えるようになります。
環境に配慮したビジネスモデルが求められる中で、ブロックチェーンを活用したReFiは注目を集めています。
参考文献:
(※1)ジョン・フラートン "REGENERATIVE CAPITALISM, How Universal Principles And Patterns Will Shape Our New Economy"(2015年4月)
https://capitalinstitute.org/wp-content/uploads/2015/04/2015-Regenerative-Capitalism-4-20-15-final.pdf