デザイン思考とは?ロジカルシンキング、アート思考との違いや、具体的な活用場面を紹介

 デザイン思考(デザインシンキング)とは、あいまいな課題を抱える消費者や顧客に共感することで、課題解決のためのアイデアを創出する手法です。

 原因が分からない課題に対して、その課題を抱えている人やモノに共感し、ニーズに寄り添った答え(アイデア)を導き出します。主観的な感覚が根拠となる点がこの手法の特徴です。
 デザイン思考と混同されやすい概念として、ロジカルシンキングやアート思考(アートシンキング)があります。これら3つはすべて課題解決の方法として説明されることが多いですが、「何を根拠にするか」「なぜその方法を用いるか」という点で異なります。

 ロジカルシンキングは、顕在的な課題に対して、分析という方法を通して解決を試みる手法です。原因が特定されている課題を細かく分解し、コンピューターのように最適解(アイデア)を導き出します。客観的な事実や情報が根拠となる点がこの手法の特徴です。

 アート思考は、潜在的な課題に対して、創造という方法を通して解決を試みる手法です。自ら課題を定義し、その課題に対して自身の主観を基に答え(アイデア)を導き出します。好奇心や興味が根拠となる点がこの手法の特徴です。

 それぞれの特徴をまとめたものが下図です。

出所:若宮和男 『ハウ・トゥ アート・シンキング 閉塞感を打ち破る自分起点の思考法』 実業之日本社 2019年12月20日 より大和総研作成

 デザイン思考では、ロジカルシンキングと同様に、解決すべき課題は消費者や顧客のニーズから生じると考えます。一方、アート思考では、解決者となる個人が課題を生み出すと考えます。

 例えば、「母の日にプレゼントを贈りたいが、何を買えば良い?」という課題に対するアプローチはそれぞれ以下のようになります。

  • ロジカルシンキング

 母親の年代や性別、職業などを根拠に、母親に適したプレゼントを購入する

  • デザイン思考

 母親の性格や趣向、会話などを根拠に、母親が喜びそうなプレゼントを購入する

  • アート思考

 自分の興味や考え、好奇心などを根拠に、自分が母親に贈りたいプレゼントを購入する

出所:若宮和男 『ハウ・トゥ アート・シンキング 閉塞感を打ち破る自分起点の思考法』 実業之日本社 2019年12月20日 より大和総研作成

 デザイン思考は、それ単体でも消費者や顧客のニーズに寄り添ったアイデアを生み出す有用な課題解決方法です。不確実性が高まる現代社会では、ロジカルシンキングに加え、デザイン思考やアート思考といった異なる課題解決方法も活用し、状況に応じてそれぞれ使い分けることが重要になるでしょう。

参考文献

• 若宮和男『ハウ・トゥ アート・シンキング 閉塞感を打ち破る自分起点の思考法』(実業之日本社、2019年)
• 西村実花子、金間大介「日常生活におけるアートとアントレプレナーシップに関する基礎的調査研究」(2024年4月)